「帝国ホテル」がジム自力運営を成功させた作戦裏 自主積極的に動くミッションコマンド型を活用
この想定に対し、当時のJR社員の答えは「お客様に向かってひたすら謝る」だったそうです。私も「官」の世界にいた身なので、このような対応をしてしまう文化はなんとなく腑に落ちるものがあります。
しかし、マネージャーによると、これはNGの最たるものでした。
彼女はこう指導したと言います。
「お客様は、そもそも謝り続けてほしいのではありません。“今”、服が濡れている状況から早く脱したいのだから、その解決に向けて全力を傾けるべきです」
このようなケーススタディを繰り返し、JR社員たちに「最も大事なお客様のニーズに瞬時に応える」というホテルマインドを浸透させていったそうです。今でこそJRの豪華旅客列車は目玉事業になっていますが、そもそもまったく異なる2つの企業文化を融合させる困難さは筆舌に尽くしがたいものがあったと思います。
一方で、それらをうまく融合できた先には、素晴らしい新文化が生まれることをマネージャーの貴重な体験談から気づかせてもらいました。
ホテルマインドによる「ミッションコマンド」
その後、帝国ホテルに戻ったマネージャーは、今度は同ホテルのスポーツジム、プール、サウナの自力運営の立ち上げをリードしました。コンセプトは「ホテルのサービスでジム、プール、サウナを運営する」です。
ここからは実際にそれらのサービスを利用した私自身の個人的な感想も加わりますが、確かに、きれいなタオルがふんだんに使われ、受付、運動場所、貸し出しウェア・シューズ、ペットボトルの提供、器材等の消毒などもホテルならではのサービスが徹底されていました。
ジムの部屋も豪華かつ高級感があります。ジムにいるスタッフは、運動しているお客様の目線を邪魔しないような動きで、お客様の使用後の器材の消毒をしています。それも、器材使用後直ちにではなく、お客様が次の運動に移ってから、さりげなくコロナウイルス感染防止のためのアルコール消毒をするのです。
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