精神科医が70歳からの「シニア恋愛」を勧めるワケ アウトプットできる人は「前頭葉」が元気な人

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私が提唱している「70歳からの勉強」は、楽しい生き方を探すための大切なスキルです。人生後半を楽しめるような生き方を模索するための勉強です。それまでの勉強の目的が「頭がよくなること=知識を蓄えること」だったのが、70歳からは楽しさを探す、つまり、よりよい人生を楽しむための勉強になるのだと私は思っています。

高齢者こそがリスキリングに取り組むべき

最近、リスキリングの重要性が叫ばれるようになりました。リスキリングとは「DX時代を迎えるなか、技術革新やビジネスモデルの変化に対応するために、新しい知識やスキルを学ぶこと」です。国はリスキリングに取り組む企業を支援し、社内でのリスキリングに積極的に投資する企業も増えています。私は、高齢者こそがリスキリングに取り組むべきだと思っています。

『70歳からのボケない勉強法』(アスコム)。書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします

世界最高齢のプログラマー、若宮正子さんは、「高齢者もリスキリングして社会参加する必要があると思います。人生100年時代です。学び続ければ、80~90代でも社会貢献できます」と語っています。

若宮さんは現在87歳ですが、なんと81歳のときにiPhoneアプリを開発しました。アップル社CEOのティム・クック氏は自社イベントに若宮さんを招待しました。社会貢献にはいろいろな形があります。「70歳からの勉強」は自分の好きなこと、得意なことを伸ばすのに最適な勉強法です。そうして得た知見やスキルをアウトプットし続ければ、やがて社会貢献につながるでしょう。

勉強は自分自身を強くして、人生の選択肢を増やすものです。それは何歳になっても変わりません。勉強は、あなたの人生を豊かにしてくれる「最高の道具」です。好きなことや得意なことを伸ばして、恋愛を楽しみ、社会貢献をする。「70歳の勉強」は、そんな喜びや楽しみに満ちた毎日を過ごすための勉強なのです。

和田 秀樹 精神科医

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わだ ひでき / Hideki Wada

1960年、大阪府生まれ。東京大学医学部卒業。精神科医。東京大学医学部附属病院精神神経科助手、米国カール・メニンガー精神医学校国際フェロー、浴風会病院精神科医師を経て、現在は和田秀樹こころと体のクリニック院長。高齢者専門の精神科医として、30年以上にわたって高齢者医療の現場に携わる。『70歳が老化の分かれ道』(詩想社新書)、『80歳の壁』(幻冬舎新書)、『60歳からはやりたい放題』(扶桑社新書)、『老いたら好きに生きる』(毎日新聞出版)など著書多数。

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