精神科医が70歳からの「シニア恋愛」を勧めるワケ アウトプットできる人は「前頭葉」が元気な人
味気ないルーティンと化した結婚生活は前頭葉の敵ですが、シニアの恋愛は前頭葉を元気にします。恋愛は、展開の読めない出来事の連続です。相手を観察して好みや気分を推し量ったり、身だしなみに気を配ったり、食事に誘うための店を検索したり、ケンカのあとに謝るきっかけを探したり。正解がひとつではない問題ばかりです。
若いころなら恋愛マニュアルや雑誌の情報を頼りにするかもしれませんが、シニアの皆さんはそういった知識はすでに頭に入っていますし、経験値もそれなりにあります。そうした知識や経験=コンテンツを臆せずアウトプットしていけば、若いころとは違う、シニア恋愛ならではの喜びやときめきが待っているでしょう。先の読めない状況で、どう振る舞えばよいのか。前頭葉をフル回転させながら、恋愛を楽しんでください。
前頭葉の萎縮を進行させないために、どうすればよいのか。とにかく前頭葉の血流を増やすことです。そのためには、新しいこと、新しい情報、新しい人との交流に関心を持ち、積極的にアプローチして「へえ」「なるほど」「おもしろい」などと感情面での刺激を経験することがきわめて有効です。恋愛中は誰しもドキドキしたり、ワクワクしたり、感情を揺さぶられ続けます。前頭葉の活性化のためにも、老後の楽しい暮らしのためにも、シニア恋愛を大いにおすすめしたいと思います。
70歳からは「頭のよさ」より「楽しさ」を大切に
私たちはこれまで、医学の進歩によって多くの病気を克服してきました。日本人の平均寿命はまだまだ延びていくでしょう。たとえば近い将来、がんの治療法が発見されるのではないかという話も聞こえてきます。いずれはiPS細胞に関する技術が、老化した臓器を若返らせることも可能にするでしょう。
しかし、医学の進歩がどれだけ目覚ましくても、脳の老化を止めたり、脳を再生したりすることはできません。ここで私が申し上げたいのは、私たちはただ健康でいられれば幸せなのだろうかということです。70歳を過ぎても健康である、それのみに甘んじているのはよいことなのでしょうか。
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