オードリー春日が動物園への謝罪で株を上げた訳 「スッキリ」騒動、なぜ批判一色を一変させられたのか
なかでも、くすぶっていたのが、「なぜ張本人の春日は謝罪しないのか?」という批判の声。当初は「先輩芸人で番組MCの加藤さんにやらされた」などと擁護する声が多かったものの、出演番組で沈黙を守り続けたほか、カンニング竹山さんや千原せいじさんら先輩芸人が春日さんを擁護したことが逆効果となり、徐々に「謝罪しろ」というムードが高まっていきました。
しかし、4日に発表された那須どうぶつ王国の文章によって、この流れは一変。「春日は謝罪しろ」の批判が、「さすが春日」の称賛にガラッと変わったのです。春日さんがしたことが不適切だったことは変わらないだけに、なぜこれほど変わったのでしょうか。
「世間に謝罪しろ」に一石を投じた
その理由は、「2022年TV番組出演ランキング」(エム・データ)1位に輝くほど多忙な春日さんがわずか2日後に那須どうぶつ王国を訪れて謝罪したことと、「謝罪した」と自らアピールしなかったことの2点。
「本当に謝罪すべきはペンギンと動物園であり、世間に対してではない」「自ら『謝罪した』と明かすのは立場上おかしい」という常識的な思考と行動が明らかになったことが大きかったのでしょう。春日さんが「謝罪しろ」と批判を浴びている間も、じっと耐えていたことがわかると、厳しい言葉を浴びせていた人々や一部のネットメディアが批判を止めました。
今回の騒動に限らず、今後に影響を及ぼしそうなのは、春日さんの行動が「世間に謝罪しろ」「記者会見を開け」という風潮に一石を投じたこと。春日さんの行動が明らかになったことで、利害関係がほとんどないケースでは「世間への謝罪は不要」「記者会見なんていらない」という普通のことに気づかされた人々が多かったのではないでしょうか。
私はクライシス・コミュニケーション(危機管理広報)の冊子やイベントを手がけた経験からしばしば企業・団体のトラブルに関する相談を受けることがあります。その際、よく尋ねられるのが、「世間への謝罪はどうしたらいいか」「どの程度から記者会見は必要か」という2点。
もちろん企業・団体の規模や不祥事の内容によるところもありますが、特定の被害者がいる多くのケースでは、基本的にどちらも不要。その理由は、利害関係のない人々をわざわざ巻き込む必要性がないうえに、世間にアピールすることで被害者への謝意が薄れかねないからです。
その意味で春日さんの行動は、那須どうぶつ王国とペンギンに対する謝意を確かに感じさせるものでした。ただ間違えてはいけないのは、春日さんの行動が“理想的な危機対応”というほどではなく、“ごく普通の危機対応”に過ぎないこと。芸能人に限らずビジネスパーソンも「ステイタスの高い人ほど、焦りやプライドからあわててしまい、普通の危機対応ができない」という傾向もあるため、覚えておいて損はないでしょう。
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