この動画を多くの人が見ていることについて、みっつんさんはこう分析する。
「食卓に親子3人が座っていますが、ママはいなくて、パパが2人いる。それで、『どういうこと?』と興味本位で観ているのでしょう。僕らの日常言語が、基本的にリカ(リカルドさん)はスウェーデン語と英語、僕は日本語で話しているところも、おもしろく感じてもらっているのではないでしょうか」
さらに、こうも指摘する。「家族の動画にパパが2人出てくることに視聴者が驚いて興味を持つのは、社会が無意識に料理や子育ては女性の役割と思っているからですよね」
みっつんさんは、そんなジェンダーバイアス、社会的、文化的に「男はこうあるべき」「女性はこんな役割をすべき」という偏見を壊していきたいと考える。「動画は、僕らの生活をちょっと覗いてもらうようなもの。僕らの日常のワンシーンを楽しみながら観てもらうことで、ゲイが子育てする家族のことを知ってほしい、その姿に慣れてほしいと思っています」と言う。
WHO「同性愛は病気じゃない」
同性婚の法制化の議論に何年間もかかってしまうのは、LGBTQ+の人に慣れていないから「コワイ」「気持ち悪い」と拒否反応を起こしてしまうのだろう。昔、外国人を見て「コワイ」と言ったのと同じ構図ではないか。
近年は、WHO(世界保健機関)の疾病分類でも、アメリカ精神医学会「DSM(精神障害の診断と統計マニュアル)」でも、同性愛は治療が必要な病気でなく、矯正することは間違いと記載されている。
「ふたりぱぱ」のチャンネルの動画を観た人からは「今まで偏見を持っていたが、うちの食卓と変わらなくて、拍子抜けしたわ」「中学生の子どもが性別で悩んでいる」というメールが寄せられている。視聴者は女性が多く、約9割にのぼる。年齢層は幅広く、コア年齢は25~44歳だが、65歳以上も1割弱いる。このため、みっつんさんは「ジェネレーションギャップは感じていない」と言う。
国別では、みっつんさんが「ゲイカップルの日本語の情報が少ない」として、主に日本人に向けて発信しているため、日本の視聴者が一番多い。だが、動画には英語やスウェーデン語の字幕も付いているため、ゲイカップルが多いアメリカや、居住地のスウェーデンで観ている人もいる。スウェーデンで夜行列車に乗っていたら、突然、「YouTubeを観ています!」と声をかけられたこともあったそうだ。
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