いま、みっつんさんが思い描く家族とは、「困ったときに、助け合える関係」という。
「家族とは性別でも、必ずしも血がつながっているかどうかでもなく、友だちを含めて『Chosen family(選ばれた家族)』と呼べる気がします。しかし、夫と息子、とくに息子には特別な『Unconditional love(無条件、無償の愛)』という気持ちも持っています」
伝統は変わっていくもの
しかし、日本はスウェーデンとは異なり、ゲイが子どもを育てることに対して、「伝統的な家族観が壊れる」という意見もある。みっつんさんは、ワークショップのとき、この点にも考えを巡らせているうちに疑問を持った。「伝統は変わってはいけないとイメージされているが、そうだろうか。本当は伝統の型は残しつつも、時代に合わせて変化しないと残っていけないのではないか」。
みっつんさんは、日本の伝統的な食文化の寿司や歌舞伎を例に挙げて、こう説明する。
「寿司も歌舞伎も、昔からその型は同じですが、時代に合わせて変化していった部分もあります。例えば、寿司は屋台で握ったらすぐ食べられる気軽な食べ物でしたが、途中で高級寿司が生まれました。でも、現在は庶民的な回転ずしがはやっていて、カジュアルな路線に戻っています。歌舞伎も基本的な型を残しつつ、時代に合わせたスーパー歌舞伎が上演されています」
そして、こう続ける。「これらは、古き良きものに新しい考え方を取り入れたことで、伝統や技術が残ることになった例ではないか。時代に合わせた結果、それぞれの良さを残しながら、より多くの人に喜びをもたらす形に変わったのではないでしょうか」。
つまり、結婚という型を残しつつ、時代の変遷により、さまざまな形のカップルが出てきたというわけだ。
近年の辞書には「結婚」について、婚姻関係として「男女の継続的な性的結合と経済的協力を伴う同棲関係で、社会的に承認されたもの(*2)」と記載されている。同性婚はその結婚の型に、「男女の性別を超えて、人間として信頼できる人とともに人生を歩みたい」という姿をあてはめたものではないかと考える。
*1 知恵蔵、朝日新聞出版 LGBTQ+のLはレズビアン、Gはゲイ、Bはバイセクシャル、Tはトランスジェンダー、Qはクエスチョニング(自らの性のあり方などについて特定の枠に属さない人、わからない人。典型的な男性・女性でないと感じる人)、クィア(「ふつう」や「あたりまえ」など規範的とされる性のあり方に当てはまらないジェンダーやセクシュアリティを包括的に表す言葉)、+(プラス)はさまざまな性のあり方を含む。出典:『LGBTQ報道ガイドライン ? 多様な性のあり方の視点から』第2版
*2 goo辞書、NTTレゾナント
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