経済損失3.5兆円!「睡眠時無呼吸症」の裏側

首周りの脂肪があなたを危険に追い込む

SASは仕事中に眠気を催すだけではない。SASになると高血圧や脳血管障害、糖尿病などの罹病率が高くなり、うつや認知症との関連も報告されている。高血圧患者の半数以上がSAS患者であるという統計もあり、生活習慣病との関連性がとても深い。メタボリックシンドロームの4種(糖尿病、脂質異常、肥満、高血圧)に加えて、「死の五重奏」ともいわれている。

米国の年間経済損失は1000億ドル以上

米国ではすでに、国家的にSAS対策に取り組んでいる。睡眠学の権威であるウイリアム・C・デメント博士を中心とした国家委員会は、1992年、SASの慢性患者数が4000万人に上り、直接的な経済損失は159億ドルにも達するという報告書を発表。間接的なものまで含めると、経済損失は1000億ドルまで達するという試算も出されている。

日本の場合、SASによる経済損失は3兆5000億円に上るという試算がある。日本の交通事故の経済損失が6兆3300億円(2009年)だから、その半分近くに相当する。このことから、SASは一刻も早く対処すべき大きな問題なのだ。

ではSASによる事故を防止するために、具体的にどのような対策が講じられているのだろうか。

ハード面については、もし運転手に異常が生じても、安全性が担保できる機能を車両に付け加えることが必要だ。国土交通省は自動車運転事業者に対して以下のように支援な支援を行っている(いずれも上限あり)。

① 先進安全自動車の導入に対する支援(補助率1/2)
       衝突被害軽減ブレーキ、ふらつき警報、横滑り防止装置など
② 過労運転防止のための先進的な取組に対する支援(補助率1/2)
       過労状態の測定機器や遠隔地でのリアルタイムの運行管理を行う機器の導入など
③ デジタル式運行記録計等の導入に対する支援(補助率1/3)
       デジタル式運行記録計、映像記録型ドライブレコーダー導入など
④ 社内安全教育の実施に対する支援(補助率1/3)
       外部の専門家によるコンサルなどの啓蒙活動など

 

とりわけ運行記録計の普及・義務化については、2015年度に遠隔地からリアルタイムで運行管理も可能とする画期的な次世代型運行記録計(仮称:スマートタコグラフ)の機能を確立。2016年度以降は、さらに装備拡大に向けて検討する予定だ。

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