日本育ちで英語を身につけた人の「2つの共通点」 中学から勉強をスタートしても習得できた理由
また、鈴木教授は、子どもが英語に興味を示さない場合には、一緒に海外のアニメやドラマを見たり、英語の音楽を聴いたり、英語村や海外旅行に出かけたり、英語話者との交流の機会を設けたりするなど、子どもが外国に関心を持つような工夫をその子に合った形で実現することが重要だと言っています。
海外での体験や衝撃が英語の勉強の起点に
中学・高校になると、海外との接点を持つ機会が増えてきます。プライベートな家族旅行は無理でも、自治体の海外派遣事業や学校主催のプログラムで海外を訪問するチャンスが増えてくるからです。
ニューヨーク州立大学ジェネセオ校を卒業した坂内さんは中学校時代、地元の自治体によるプログラムで東ロシアに派遣されました。「初めての海外旅行がロシアの、しかも僻地の町で、英語は相手もまったく話せず、自分は何のために英語を勉強しているんだと少しがっかりしました。でもその悔しさからか、帰りの飛行機で、『もう一度、海外に行きたい。どうせなら長期で英語圏に留学するぞ』と強く心に決めました」
坂内さんはこれがきっかけで、海外大学進学コースが新しく設置される県立高校(新潟県立国際情報高校)に入学することになります。オランダの国立デルフト工科大学で学ぶ橋本さんは公立高校に入学したばかりの1年生の夏休みに、学校主催の短期交換留学に抽選で選ばれ、生まれて初めての海外旅行でオーストラリアを訪れました。
「クイーンズランド州立大学を見学したのですが、美しく広々としたキャンパスを一目見ただけで、直感的に海外の大学に行きたいと思うようになりました」
坂内さんも橋本さんも、英語力は地元の公立高校に入学できるレベルからのスタートでしたが、こうした海外での原体験が英語の勉強に向かう起点となったのです。
一方で、中高時代に海外を訪れることで「危機感を抱いた」という人もいます。アメリカのハミルトンカレッジで学ぶ船田さんも同じく高校1年の夏、部活のスキーの強化合宿でニュージーランドに滞在しますが、偶然リフトに乗り合わせた少年に衝撃を受けたといいます。
「彼はスノーボーダーで、13歳でアメリカ・カリフォルニア州から飛び級でニュージーランドの大学に来ていました。世界には、こんなレベルで国境を越えて挑戦している人がいると知り、自分がどれだけ井の中の蛙だったのかと打ちのめされました。今の環境のままだったら自分はどこにもたどり着かないぞって。私の場合、海外の大学を受けようと思ったのは、ワクワクした気持ちというよりも、絶対的な恐怖感からです」
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