サムスン、好発進した後継体制の舞台裏 長男・李在鎔副会長体制の成果と課題

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世界的なIT技術力を備えたサムスンとしては、興味がわかざるを得ない。李副会長が特に力を入れているのはスマートホームだ。冷蔵庫や洗濯機、エアコンなど、生活家電製品をスマートフォンやウェアラブル機器などで制御できるようにするソリューションだ。これのために、サムスン電子は昨年末にIM部門の無線事業部に所属するソフトウェア開発者500人ほどを消費者家電(CE)部門に再配置した。スマートホームを皮切りに、サムスン電子は通信、建設、エネルギー、セキュリティーなど各分野の企業が協同できるようにIoT向けた態勢構築を推進中だ。

昨年8月、米国のIoTプラットホーム企業であるスマートシンスを買収したのもこの一環だ。1000個以上の機器と8000個以上のアプリケーションを支援する同社のプラットホームは、誰でも利用できる開放型だ。サムスン関係者は「より多くの協力企業と機器にこのプラットホームが活用できるように支援する計画」だと言う。そうなるような場をきちんと作るという、李副会長の意思が込められている。

「サムスン・ペイ」で見られるように、「フィンテック」(FinTech)事業の進出にも意欲を見せている。金融(Finance)と技術(Technique)の合成語であるフィンテックは、モバイル決済・送金、資産管理など新たな形態の金融技術を意味する。活用範囲がとても広いが、サムスンが最も注目しているのはモバイル決済市場だ。

サムスン電子はギャラクシーS6に「グーグルウオレット」ではない、自主開発のモバイル決済ソリューション「サムスン・ペイ」を搭載した。アンドロイドの影響力から抜け出す出発点であると同時に、高い成長潜在力を持つモバイル決済市場に本腰を入れることを意味する。米国企業の調査では、モバイル決済市場の市場規模は今年の4311億ドルから2017年には7210億ドルに拡大すると予想しているほどだ。

ピーター・ティールと会談

李副会長は今年に入り、このフィンテックに関する動きを強めている。サムスン電子は2月18日、ループペイの買収を発表した。同社は磁気保安伝送(MST)技術に特許を持つ会社だ。一般の磁気カード用のカード決済機器にスマホをかざすだけで決済が可能になる。この技術はそれから2週間後に発表したギャラクシーS6にそのまま搭載されている。MWCでサムスン・ペイが高い評価を受けたのも、この技術があったためだ。

アップルペイやグーグルウォレットはNFC(Near Field Communication近接通信)だけを支援している。NFCは10センチメートル以内の距離から無線でデータをやりとりする技術だが、これを利用して決済を行うならばNFC方式を支援する専用機が必要だ。じわじわと増えているが、まだ全世界的に広く普及されてはいない。

李副会長はこのサムスン・ペイに関して、周囲の企業から協力を得るべく積極的な姿勢を見せている。2月24日には訪韓したペイパルの共同創業者であるピーター・ティール氏と会談。多くのテーマが話されたようだが、主な内容はフィンテックだった可能性が高い。ペイパルは世界最大の電子決済システム企業だ。2002年、ティール氏はペイパルをイーベイに売却して現場を離れたが、依然としてベンチャー企業の成功者と評価され、モバイル決済とビッグデータなどの環境変化に明るい。3月初旬に米国出張した際、李副会長は主なクレジットカード会社の経営者と会ってサムスン・ペイに関する包括的な協力法案について議論を交わしてもいる。

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