サムスン、好発進した後継体制の舞台裏 長男・李在鎔副会長体制の成果と課題

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「父親ほどうまくやれるだろうか」。李副会長には疑問符だけがつけられるだけの状況だった。父親は偉大過ぎた。李会長がグループトップとしての経営を始めた1987年、サムスングループの売上高は約10兆ウォン程度。それが2013年には334兆ウォンに達した。韓国の国内総生産(GDP)の4分の1に達する規模だ。アジアの片隅にある内需中心の企業から、世界の誰もが注目するグローバル企業に育てたのも父親だった。李副会長自身も、父の後光が負担となっていた。グループの内外で「組織掌握力とリーダーシップが弱い」という指摘されるのもしばしばだった。

そんな李副会長だったが、この10カ月間に見せた経営能力には合格点をつけられる。難問と格闘しながらも、大きな雑音は出てこなかった。準備は緻密で、処理も丁寧。わずか半年で、グループ主要企業であるサムスンSDSとサムスンエバーランド(第一毛織から社名変更)を上場させた。結局立ち消えとなったが、サムスン重工業とサムスンエンジニアリングの合併も推進した。

誰もが驚いたのは、ハンファグループとのM&Aの実行だった。サムスングループは昨年11月、サムスン総合科学とサムスンテックウィンなど科学・防衛産業関連4社をハンファグループに売却することを決定した。取引金額だけでも2兆ウォンに達するビッグディールだった。

まずは合格点を得た李副会長

昨年4、5月ごろにハンファ側がサムスンにサムスンタレスを買収したいと打診すると、サムスンは逆にサムスンタレスの親会社であるサムスンテックウィンの株式持ち分32.4%を買収しないかと提案した。グループ間の複雑な支配構造で取引自体が複雑なものになったが、李副会長は果敢に決定を下した。非主力事業を整理し、ITと電子、未来につながる新事業などに注力するという意思が垣間見えるものだった。

支配構造の再編にもスピードを上げている。サムスンSDSと第一毛織を上場させ、今後の相続に備えた実弾(資金)を用意したことが目を引く。李副会長はサムスンSDSの発行済み株式11.25%、第一毛織の23.24%を保有している。両社が上場する前の時価総額は1兆ウォン台。それが8兆ウォンへと急増した。グループの支配構造の核になる第一毛織の株式は保有しなければならないが、サムスンSDSの株式はいつでも現金に転換できる。

サムスンSDSの最大株主として持ち分は60%以上だ。李副会長が株式を売ったとしても、経営権の維持には支障がない。この売却で得た資金は李会長が保有するサムスン生命など主要グループ会社の株式相続に活用できる。サムスン電子も7年ぶりに自社株買い入れを行い、力を蓄えている。

もともとグループ会社の所有構造が複雑に絡み合っており、サムスンがどのようなシナリオをつくって実行するかはまだ不透明だが、確実に承継するための策を用意したようだ。製造業の中心であるサムスン電子と、金融業の中心であるサムスン生命を李副会長がともに支配することに誰も異論はない。後継体制から事業構造まで、少しずつ李在鎔のカラーがつき始めたことを意味する。

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