"ナッツ姫"に下された「懲役1年」の意味 韓国に渦巻く「有銭無罪」への微妙な感情
懲役1年。“ナッツ姫”の所業に審判が下された――。
2014年12月に発生した「ナッツリターン」事件に対する判決公判がソウル西部地方裁判所で開かれ、被告で大韓航空前副社長の趙顕娥(チョ・ヒョナ)被告に対し、「趙被告が機長にルート変更を強要、航空機の予定ルートが変更された」とし、航空機航路変更罪で有罪と認め、懲役1年の実刑判決を言い渡した。
また、趙被告とともに起訴された大韓航空の客室乗務本部常務には懲役8カ月、同社に今回の事件に関する情報などを教えていた韓国の国土交通省の調査官には、執行猶予付きの有罪判決が出された。
財閥の「傲慢さ」が批判の的に
趙被告はニューヨーク発の自社便に搭乗し、機体がボーディングブリッジを離れて離陸しようとする時、ファーストクラスで出されたナッツの出し方に不満を述べ、乗務員を叱責。そのうえで飛行機をブリッジにまで戻させ、この乗務員を下ろさせた。
今回の事件では、副社長でありながら一般搭乗客のいる前で乗務員をしかりつけたこと、その原因がナッツの出し方という実にささいな出来事だったことを理由に、韓国財閥経営者の「傲慢さ」や「創業一族という理由で昇進したこと」に批判が集まった。
さらには、ほかの兄弟も一般市民に傲慢な態度を取っていたことが発覚。全国的な大批判の合唱を呼び起こした。一国のナショナルキャリアに関する事件としては、その中身のレベルの低さと反響の大きさで世界中の話題になったが、今回の判決でひとまずメドがつくことになる。
今回の事件について、大韓航空はまったくリスク管理ができていなかった。ことさら世論の心証を悪くすることばかりが目立った。乗務員(事務長)には当初から真摯な謝罪をしなかったばかりか、社内で箝口令や文書の改ざんを行う指示が出されていた。しかも、そんな“社内対策”がメディアにダダ漏れとなり、そのたびに世論が沸騰し、大韓航空のイメージを毀損し続けた。
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