ウォン高に"労働貴族"、現代自動車の迷走 労組との合意が、現地生産拡大の足かせに
韓国経済のエンジン役を果たし続けてきた財閥系企業の元気がない。中でも、代表企業であるサムスン電子や、現代自動車の業績が急速に悪化している。
特に、3~4年前にはトヨタ自動車をも追いつき追い越せの勢いだった現代自動車は、業績悪化が顕著だ。2014年第3四半期(7~9月)決算では、営業利益が前年同期比18%の減益、営業利益率も7.7%に低下。
これは、販売台数の伸び悩みに、著しく進んだウォン高円安、そして労働組合の時限ストライキによる生産遅延が重なった結果だ。
特に採算が悪化した米国向け
特に米国市場で採算が悪化している。現代自動車の同市場でのシェアは11年の5.1%が、14年1~10月では4.4%へ低下。起亜自動車を含んだグループ全体でも、同8.9%から8.0%へと縮小している。
「現代自動車の米国販売は輸出比率、すなわち韓国で製造して輸出した割合が高い。そのため急激に進んだウォン高円安がもろに響く」(日本総合研究所の調査部上席主任研究員、向山英彦氏)
これには「09~11年ごろに現代自動車にもたらされたプラス効果が剥落したことも作用した」(向山氏)。プラス効果とは、超円高、トヨタ自動車のリコール問題、東日本大震災による日本メーカーのサプライチェーン寸断、といったもの。それらがなくなったうえに、燃費性能を過大に表示していたといった内部の問題が発生し、追い打ちをかけたようだ。
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