ウォン高に"労働貴族"、現代自動車の迷走 労組との合意が、現地生産拡大の足かせに
現代自動車の対米輸出比率は、トヨタの31%(12年)と比べると、46.1%(13年)と高い。もちろん同社は現地生産を進めているが、それも中国やロシアといった、BRICs諸国に偏重している。そのため、為替の影響を敏感に受けやすい。
さらに、韓国国内での労組との合意が、輸出比率引き下げの足かせとなっている。それは雇用を安定させるため、年間174万台以上を国内で生産するというものだ。同社の労組は過激なことで知られ、ストライキを頻発させると同時に、時には過剰に見える要求を通す。韓国国民の中には“労働貴族”と揶揄する声も根強くある。
「海外工場は最新設備を備えて省人化を進めたため、生産効率が韓国工場よりもはるかによい。労組がネックになって国内の生産効率を上げきれずにいる」(韓国の自動車メーカー関係者)のも利益率向上に障害となっている。
ASEAN市場の攻略がカギを握る
同社の業績好転には、米国市場に加え、未開拓のASEAN(東南アジア諸国連合)市場をどう攻略するかがカギを握る。この2市場を中心に、グローバル戦略を立て直す時期に来ている。だが、前述した労組との合意内容を損なわない、ということがその前提になる。
「米国市場向けは、起亜自動車がメキシコに建設中で、16年稼働予定の工場を生かす戦略になりそう」(向山氏)。一方、ASEANでは、日本車の牙城とも言えるタイやインドネシア市場を攻略できるかどうか、だ。
「日本企業の影が薄いところを狙って進出してきたのがこれまでの韓国企業。だが現代自動車もいつかは進出せざるをえない」(前出の韓国自動車メーカー関係者)
現代自動車はすでにベトナムやカンボジアなど周辺国への輸出に力を入れている。今後は日本車が強いASEANでの工場設立という行動に移る可能性も高い。
(「週刊東洋経済」2014年12月20日号(15日発売)の「核心リポート06」を転載)
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