井伏鱒二に「会ってくれないと死ぬ」と手紙
川端康成、山岸外史といった数々の文豪と太宰治のエピソードを連載してきた本連載。今回は、太宰が「あなたが会ってくれないと死ぬ」という手紙を送りつけた文豪のことを紹介しよう。
太宰が心酔し、東京大学進学時になんとかして会いたいと泣き落とした相手――それは小説家の井伏鱒二であった。
井伏鱒二は『山椒魚』『黒い雨』などで知られる文豪だが、翻訳家としても一流。“サヨナラダケガ人生ダ”という訳を唐の漢詩(于武陵の「勧酒」)に当てるなど、数々の名訳を生み出した。そんな井伏鱒二の言語センスに惚れこんだのが、まだ大学生だった太宰治だった。
太宰は「どうにかしてこの人のもとに弟子入りしたい!」と思ったのだろう、井伏鱒二に手紙を書きつける。井伏はこのときのことを以下のように回想する。


















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