太宰治「走れメロス」の滅茶苦茶だけど天才な逸話 実際の行動はメロスと真逆、でも愛されたワケ

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太宰治
太宰治(右)はどんな人物だったのでしょうか(写真:内蔵助/PIXTA)
学校の授業では教えてもらえない名著の面白さに迫る連載『明日の仕事に役立つ 教養としての「名著」』(毎週木曜日配信)の第26回は、文豪・太宰治と師匠である井伏鱒二の驚く関係、「走れメロス」に隠された逸話を解説します。
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井伏鱒二に「会ってくれないと死ぬ」と手紙

川端康成、山岸外史といった数々の文豪と太宰治のエピソードを連載してきた本連載。今回は、太宰が「あなたが会ってくれないと死ぬ」という手紙を送りつけた文豪のことを紹介しよう。

太宰が心酔し、東京大学進学時になんとかして会いたいと泣き落とした相手――それは小説家の井伏鱒二であった。

井伏鱒二は『山椒魚』『黒い雨』などで知られる文豪だが、翻訳家としても一流。“サヨナラダケガ人生ダ”という訳を唐の漢詩(于武陵の「勧酒」)に当てるなど、数々の名訳を生み出した。そんな井伏鱒二の言語センスに惚れこんだのが、まだ大学生だった太宰治だった。

太宰は「どうにかしてこの人のもとに弟子入りしたい!」と思ったのだろう、井伏鱒二に手紙を書きつける。井伏はこのときのことを以下のように回想する。

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