米倉は東京・羽田国際空港に事務所がある「エンジェルハース」の社長役のポジションにもあり、そこで働く国際霊柩送還士のメンバーには、松本穂香、遠藤憲一、城田優、矢本悠馬、野呂佳代、徳井優らが演じる個性的な顔ぶれが揃います。実在するモデルがいるそうで、1人ひとり欠かせないキャラクターとして仕上がっています。また松本が演じる新入社員の高木凜子役にフォーカスを当て、6話を通じて成長していく話も盛り込まれています。
真っ先に声をかけたのが古沢良太
では、失敗しないドラマを目指してどのような作り方が行われたかというと、「ライターズルーム」と呼ばれる複数人体制で脚本を仕上げる方法に挑んでいます。日本では割とどのドラマも1人の脚本家が手掛けることが多いのですが、欧米では作品のタイプによって積極的に取り入れられているやり方です。
連続ドラマのタイプを大きく2つに分けると、複数話にまたがって1つの話をダイナミックに展開して夢中にさせるものと、1話ごとに話を完結させながらパターン化に中毒性を持たせるものがあります。後者の場合、成功の条件は何よりマンネリ化を防ぐこと。それによって、ロングシーズン化にもつながり、ヒット作と呼ばれる作品へと昇華させることができるのです。
そこで生かされるのがライターズルーム体制なのです。エピソードごとに脚本家が変わることによって、話の展開の仕方やトーンが変わり、それが飽きさせない作品へとつながっていくからです。「エンジェルフライト」はまさに後者のタイプの作品です。ライターズルーム体制に挑むメリットは十分にあります。
原作は第10回開高健ノンフィクション賞を受賞した佐々涼子による同名タイトルの小説ですが、ライターズルームのメンバーがドラマ用に登場人物たちの作り込みからオリジナルエピソードまで作り、撮影に至るまで足掛け4年で仕上げていったそうです。
現場を仕切ったNHKエンタープライズ所属の堀切園健太郎監督は、この体制を作るにあたり、真っ先に声をかけたのが古沢良太氏だったと言います。以前、NHKの土曜ドラマ「外事警察」で組んだ経験に加えて、海外制作にも精通することから「古沢さんしかいなかった。なかば強引でしたが、お誘いしました」と明かします。
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