古沢氏にとっても初の試みとなったようですが、快く同意し、加えて「ドクターX ~外科医・大門未知子~」シリーズや「緊急取調室」シリーズなどを手掛ける香坂隆史氏にも協力を仰ぎ、プラス2人の若手脚本家と3人のプロデューサー、そして堀切園監督の計8人でライターズルームを動かしていったのでした。
「古沢さんお一人にお任せすることは決してなく、みんなで意見を出し合い、取材も一緒に進めていきました。ひとつひとつ確かめながら丁寧に取り組むことでエンタメの強度が強くなっていったと自負しています。そうじゃないと、世界に伝わらない。そんな想いもありました」
堀切園監督のこの狙い通り、実際に見続けたいと思わせる作品になっていると思います。死を扱う作品だけに、重い印象を払拭させるような軽さも程良いバランスです。
5つ星のうち「4.7」の好成績
強いて言うなら、エピソードによって好みが若干分かれるのも事実です。韓国が舞台となった3話「社葬vs食堂おかめ」は古沢ワールド満載でクスっと笑えるせりふが多く、伏線をきっちり回収する巧みなテクニックが光ります。一方、2話や4話はエモーショナル過多で作風の違いが目立ちます。確かにバリエーションは豊富で飽きさせませんが、古沢作品を求めるファンには物足りなさが残りそうです。
結果的には、視聴者からは高評価を得ています。3月17日の世界独占配信から約3週間が経過した現在、星5つが全体の86%を占め、5つ星のうち「4.7」と好成績です。Amazonレビュー数は600件以上と多く、丁寧に書かれた感想からは満足度の高さをうかがえます。作り上げたキャラクター力と狙いを定めたエンタメ度が高評価獲得の要因にあるのではないでしょうか。
作品が公開されたタイミングも味方につけたのかもしれません。コロナ禍で別れの時間が制限される経験をした今だからこそ「大事なのは残された人」というせりふの意味が深く刺さります。劇中では遺体との別れの時間がいかに大切であることを訴え、亡くなった大事な相手の人生を振り返るだけでなく、残された側も人生を振り返ることでその後、前を向いて生きていくことができるということを伝えています。
世界的に共有できる感情でありつつ、表現の仕方は「日本的な情緒にこだわった」というそんな目論見も効果的に映し出されています。計算尽くしでこうして生まれた“失敗しない”ドラマは、シーズンもきっと重ねていくに違いありません。
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら