これによりサントリーの製品で「ボトルtoボトル」が推進されていく流れができ、2011年に売れ筋商品となる烏龍茶2ℓで国内初となる「ボトルtoボトル」のペットボトルが販売された。当時はメカニカルリサイクル材50%使用のボトルで販売されたが、翌年2012年からはメカニカルリサイクル材100%のボトルが提供され続けている。
その後、キリンビバレッジ、伊藤園、コカ・コーラ ボトラーズジャパンでも「ボトルtoボトル」のペットボトルが導入されていった。また、2018年の中国の廃プラの輸入禁止により、ペットボトルの国内循環が進み、その後アサヒ飲料もリサイクルのペットボトルを利用するようになった。2011年の実績は500tであったが、2022年には16万t強にも達している。
「フレークtoプリフォームダイレクトリサイクル」
「ボトルtoボトル」が進んでいくと、台湾の化学大手メーカーが日本に参入してくるようになった。それに対抗するために世界初の技術として、フレークからプリフォームを直接生成する「フレークtoプリフォームダイレクトリサイクル」(F to Pダイレクト)技術を古澤氏の発案により開発した。
それまでは、①フレークの生成、②ペレットの生成、③プリフォームの生成、という順序でペットボトルを製造していたが、それぞれ別の工場で製造するため、各工程間の輸送コストが生じていた。これに対し、②の工程を省略し、自社の工場内でフレークから直接プリフォームを生成していくようにした。これにより、製造・輸送コストの半減を実現し、CO2排出量の約70%削減にも成功した。
現在飲料メーカーは、ペットボトルのリサイクル率を100%に近づけていく方向にある。ペットボトルのリサイクルのパイオニアである古澤氏の協栄産業が果たす役割は今後も大きくなる状況にある。
2回にわたってペットボトルのリサイクルについて紹介してきた。ここまで読んだ読者の方には、普段何気なく使っているペットボトルが少し違って見えてきたのではないだろうか。また、「ボトルtoボトル」や「F to Pダイレクト」といった技術は、今後世界の環境問題に寄与していく一つの解になるだろう。
日本は石油資源に乏しく輸入に頼っている。また、その石油資源は有限でありいつかは枯渇する。次の世代にも石油資源を残していくためには、可能な限り廃棄物資源を循環させていく必要がある。その方法の1つとして、普段何気なく利用するペットボトルを、既存のリサイクルのルートにしっかりと乗せていくことが有用な一手段となる。それは簡単なことであり、中身を飲みほし、決められた排出方法に従って排出していけば良いのである。
一人一人がペットボトルは貴重な資源であると認識し、ちょっとした労力を提供していくことで、廃棄物資源を循環させていく流れを堅固にしていくことができる。
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