古澤氏は「ボトルtoボトル」によってペットボトルを国内循環させたくても、その材料が確保できない状況に陥った。ペットボトルが入手できないため倒産を余儀なくされたリサイクル会社もあった。
また、中国に輸出されてもペットボトルでなく繊維に生まれ変わる状況であった。古澤氏はこれらの点を憂え、再生PET樹脂のCO2削減効果をコンサルタント会社とともに測定し、国内リサイクルの必要性を示していった。
結果として、原油からPET樹脂を作るよりも、回収ペットボトルで再生PET樹脂を作る方が、63%もCO2排出量を削減できる点を示し、政府(経済産業省)に対して説明した。これを受けた政府は2010年版『ものづくり白書』で古澤氏の取り組みを取り上げ、ペットボトルの国内循環への可能性を示すに至った。
なお、協栄産業は2006年に「ボトルtoボトル」のリサイクル技術を確立し、再縮合重合反応によるメカニカルリサイクルプラントを擁する小山工場(栃木県小山市)を稼働させた。
サントリーから始まった「ボトルtoボトル」
「ボトルtoボトル」ができる体制が整ったので、古澤氏は国内の飲料メーカーにプレゼンして回ったが、当初は各社からの良い返事は得られなかった。しかし、その後飲料メーカーは、循環型社会への貢献のため、限りある資源を有効に活用していく方向に舵を切るようになっていった。
そのような趨勢の中で、サントリー社が協栄産業の「ボトルtoボトル」のリサイクル技術に着目し、協同で実用化に向けて検証していく流れが生まれた。
飲料メーカーが廃棄物から飲料ボトルを作って売るには、当然ながら食品衛生上の安心・安全性が確保される必要がある。そのためには、廃棄物から生成されたフレークをしっかりと洗浄し、汚れや臭いといった不純物を除去し、安全性を確保しておく必要がある。この点が担保されていなければ、飲料メーカーの製造物責任が問われる。
2010年、サントリーとの協業で、協栄産業のプラントを利用した汚染除去試験が行われた。そこでは、汚染されたボトルを実機に投入して試験が行われ、アルカリ洗浄により表面の汚れや異物を削り取り、高温・真空下で一定時間処理することで、内部の不純物を除去するのと同時に物性の回復に成功した。
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