「何があった?」ニコラス・ケイジが消えていた訳 B級映画に出演しまくるも劇場公開はされず
ニコラス・ケイジの最新作『マッシブ・タレント』が、今週末、日本で公開された。ケイジがフィクション要素のかなり入った自分自身を演じるという、かなりふざけたアクションコメディだ。
昨年公開されたアメリカでは、興行収入こそパッとしなかったものの、批評家や観客の受けは良く、そこそこ話題になった。また、その少し前には、『PIG/ピッグ』(2021)で放送映画批評家協会賞(Critics Choice Awards)の主演男優部門に候補入りし、久々にアワードにも復活してもいる。
『リービング・ラスベガス』でアカデミー主演男優賞を受賞したのは1996年とかなり昔のこと。来月には久々のメジャースタジオ作品『Renfield』が控え、いよいよカムバックだ。
アメリカでは劇場公開されず
そう聞くと、近年もケイジの映画を劇場で結構見てきた日本の観客は、「ずっと映画に出てきているじゃないか」と思うかもしれない。実際その通りで、ケイジは、この10年ほど、むしろ出すぎるほど映画に出てきた。
だが、それらのほとんどはB級の低予算映画だ。しかも、日本で劇場公開されてもアメリカではVOD(劇場公開されずにホームエンターテインメントに直行)だったものも多く、アメリカでは存在も知られていない。おかげでアメリカの観客からは「ニコラス・ケイジはどこに行ったんだ?」と思われてきたというわけだ。
そうなったのには、理由がある。
ひとつは、2010年前後、出演作が立て続けに興行的に失敗したこと。1億5000万ドルの予算をかけた娯楽大作『魔法使いの弟子』(2010)の北米成績は6300万ドルと振るわずシリーズ化を断念したし、その翌年の『ドライブ・アングリー』は9位デビューで、やはり赤字。2012年には『ゴーストライダー2』が公開されるも、これまた北米興収5100万ドルと、期待を完全に裏切った。そんな中で、メジャースタジオからのオファーがすっかり途絶えてしまったのだ。
しかし、ほかの人たちからのオファーはあった。そして、彼には、それらを受ける必要があった。それが、ふたつめの理由だ。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら