米国映画「未成年ヌード強要」54年後に訴訟の必然 時効撤廃の期限前に「#Me Too」の声が続々
公開から54年。『ロミオとジュリエット』(1968)を製作配給したパラマウント・ピクチャーズが、未成年への性的虐待で訴訟された。訴えを起こしたのは、主演俳優のオリヴィア・ハッセーとレナード・ホワイティング。性的虐待のほかに、意図的な不法行為、詐欺行為、怠慢などもあったとして、ふたりはパラマウントに1億ドル(約132億円)以上の損害賠償を求めている。
ヌードで演技をしろと要求
撮影当時、ジュリエットを演じたハッセーは15歳、ロミオを演じたホワイティングは16歳と、ともに未成年。2022年12月30日に提出された訴状によると、撮影前、ふたりはフランコ・ゼフィレッリ監督から、実際にヌードになることはなく、ベッドルームのシーンでは肌色の下着をつけると言われていた。だが、撮影も終わりに近づいたある日、突然にして、監督は、ふたりにヌードで演技をしろと要求してきたのだという。
ただし、それらの演技は映画に使わないし、撮影もしないとのこと。「それをやらなければ映画はうまくいかない」「この映画には多くのお金が投じられているんだ」「そうなったら君たちはハリウッドどころか、ほかのどこでも雇ってもらえなくなるぞ」などと脅され、ふたりはしかたなく言われた通りにボディにメイクを施され、演技せざるをえなかった。
しかし、監督の言葉とは裏腹に、それらのシーンはひそかに撮影されていたのだ。この出来事のせいでふたりの心はひどく傷つき、その影響は肉体面にも出た。その結果、心理カウンセラーや医者に通うことになって、就業の機会が失われてしまったと、訴状は述べる。
一方、パラマウントは、これまでに『ロミオとジュリエット』から5億ドルの収益を得た。もちろん命令したのは監督で、パラマウントは知らなかったのかもしれない。それでも、「知っているべきだったのだ」と、原告は主張。それに、パラマウントには、違法に入手された未成年のヌードが含まれる映画を配給したことへの責任がある。ゼフィレッリ監督は2019年に他界したが、在命であれば間違いなく被告の一番目に名前が挙げられていたことだろう。
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