足にも肝臓が悪い時のサインが出現することがあります。
「最近靴下がスムーズに入らない」「今まで履けていたズボンが履けない」……これらは要注意の現象です。
肝臓の仕事に、「アルブミン」と呼ばれるタンパク質の生産工場としての役割があります。通常、血液中に浮いたこのアルブミンが血管の小さな穴から水分を引っ張ってくることで、血液の水分バランスを維持しているのですが、肝臓の調子が悪くなるとうまくアルブミンを作れなくなります。
そうなると血管の中に水分を引き留めておくことができず、外にもれていってしまいます。もれていった水分はどこに行くのかといえば、重力にしたがって足のほうに溜まり、「むくみ」の症状を呈します。
足だけではなく、お腹にもこの水分が溜まってしまうことがあります。この水は医学用語で「腹水」と呼ぶものです。当然この腹水が溜まったぶん、体重も増加します。何も知らないと太ってきたと勘違いしやすいサインです。
腹水と脂肪の見分け方は見た目だけでは非常に難しいのですが、「なんだかお腹がたぷたぷしてきた」と感じる場合は脂肪以外の可能性もある、ということは知っておくとよいでしょう。
肝臓は何故痛むのか
このような肝臓からの悲鳴は、ぜひ知っておいてほしいです。さらに理想をいえば、このような症状が出てしまう前段階で肝臓を守りたいところです。
そもそも、なぜ人間の肝臓はこのように痛んでしまうのでしょうか? 肝臓の仕組みと一緒に学んでおきましょう。
肝臓のメインの仕事は、なんと言っても「エネルギーの工場」です。肝臓に貯められるエネルギーは大きく2種類に分けられます。
1つは「グリコーゲン」。グリコーゲンは寝ているときや激しい運動でエネルギーが足りていないときなど、比較的すぐに使うためにストックしておくエネルギーです。
もう1つは「中性脂肪」。中性脂肪はグリコーゲンとは違い、食事が摂れなくなったり、飢えの状態になってしまったときにに使うものです。長い目で見て起こりうる危機に備えるため、脂肪を貯めておくように人間の遺伝子にプログラムされています。
現代ではほぼ飢餓になることがないので、不要といえば不要なはたらきかもしれません。とはいえ、何が起こるかわかりませんし、人間の遺伝子にプログラムされているため、私たちが変えられることではありません。
しかしグリコーゲンに割り当てられた貯蔵庫のスペースは、長く貯めておくものではないためそれほど広くありません。そのため余分なエネルギーはどんどん中性脂肪となって、肝臓に貯められてしまいます。
この中性脂肪がコツコツコツコツ蓄積されて、肝臓の細胞の30%以上溜まった状態=フォアグラ状態が、いわゆる「脂肪肝」です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら