女性ホルモンである「エストロゲン」という物質によって表れる症状です。エストロゲンの分解も肝臓の仕事ですが、不必要な分量が体に溜まると、てのひらが真っ赤に見えてしまうことがあります。これはエストロゲンに血管を広げる作用があるために起こる症状です。
医学用語で「手掌紅斑(しゅしょうこうはん)」というもので、中心以外のてのひらの部分がドーナツ型に赤くなります。つまりてのひらを観察することで、肝臓からの「SOS」を見つけられる場合があるのです。
肝臓が悪化すると「かゆみ」の症状も引き起こされます。
通常、かゆみをおさえる物質と引き起こす物質がまるでシーソーのように体内でバランスをとっていますが、肝臓病の人はこのバランスが崩れてかゆみを引き起こす物質のほうが多くなってしまうのです。
このとき、蕁麻疹のような皮膚の盛り上がりなどの見た目の異常はなく、ただただかゆくなってしまうことが多いです。
これは「原発性胆汁性肝硬変」と呼ばれる肝臓の病気で、「ビリルビン」という物質が肝臓から胆汁として排泄されず、血液中へと逆流することが原因です。中年の女性に多く見られます。
ビリルビンの血液中への逆流の影響で起きる皮膚の異常がもう1つあります。皮膚が黄色くなってしまう「黄疸」という現象です。
ビリルビンが含まれる胆汁は肝臓で作られ、胆嚢(たんのう)という袋に貯められ、胆管という管を通って、胃の下の十二指腸という管に排出されます。
この通り道(胆管)が塞がれてしまうと起こるのが黄疸です。すい臓のがんや胆管に石が詰まってしまったときにも黄疸は起こりますが、肝臓の状態が悪くなると、この胆汁を排出する流れが肝臓でスムーズに行われなくなるので、胆汁が血液中に逆流し、ビリルビンによるかゆみと黄疸が引き起こされる、という現象が生まれます。
首や腕、胸に出やすい症状
「クモ」のような模様が皮膚に表れることもあります。医学用語で「クモ状血管腫」と呼び、これはてのひらが赤くなる現象と同様、エストロゲンが体に溜まって、皮膚の血管を部分的に広げることで起きるサインです。首、腕、胸あたりに出やすいです。
妊婦さんやピルを飲んでいる人に出ることもありますが、もしこのクモのサインを見つけたら、肝臓を心配しましょう。
このように肝臓が悪いときに皮膚でわかるサインは、かなり多くあります。言いかえれば、皮膚は我々が目にしやすいところなので、早めに症状に気づきやすいということ。病院に行って早期治療につなげられる可能性も上がります。
自分の全身を鏡で見るときに、今回紹介した皮膚のサインがないかどうか、ぜひチェックしてほしいと思います。
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