そのため、スタートアップ業界におけるシリコンバレー銀行の存在感は圧倒的なものになっていた。ベンチャーキャピタルの超有名どころ、アンドリーセン・ホロウィッツが同週末に投資家に送ったメッセージをニューヨーク・タイムズが確認したところ、投資先のスタートアップの約半数はシリコンバレー銀行のサービスを利用していると記されていた。アンドリーセン・ホロウィッツの広報担当者はコメントの求めに応じなかった。
シリコンバレー銀行は、富裕層テック経営者の個人資産にも深く関わっていた。伝統的な銀行なら貸さないような巨額の低金利ローンを、投資家やスタートアップの創業者に提供していたからだ。そうしたローンを利用して投資家や起業家たちは何百万ドル(何億円)もする豪邸を購入してきたと、シリコンバレー銀行の利用者3人が語った。
シリコンバレー銀行の甘い融資
ソフトウェアのサブスクリプション企業ヴェンダーで投資家兼成長担当バイスプレジデントを務めるオースティン・ピータースミスはシリコンバレー銀行から自宅購入のための住宅ローンを借りられて感謝していると、同銀行が破綻した週にツイートしていた。
「シリコンバレー銀行がなければ、私の家族は文字どおり、今この家で過ごせていない」。そう記したピータースミスは、15の銀行や融資業者に断られた住宅ローンをシリコンバレー銀行は「1週間とたたずに承認してくれた」と付け加えている。ピータースミスにコメントを求めたが、返信はなかった。
個人の資産状態を知られたくないとして匿名を条件に取材に応じた1人のスタートアップ創業者は、サンフランシスコの自宅購入資金としてシリコンバレー銀行は2.2%の金利で400万ドル(約5億3000万円)のローンを提供してくれたが、ほかの銀行が提示した金利は3%以上だったと話した。
(執筆:Erin Griffith記者、Mike Isaac記者)
(C)2023 The New York Times
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