まばたきを軽視する人を襲う、目のダメージの正体 「5回に1回失敗」して、日本人の目がいまデコボコ

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あくびをすると、目がうるおって少し遠くが見えた経験はありませんか? 目の表面が涙で整い、視界が鮮明になって「見える力」が高まるからです。

正しいまばたきのコツ

正しいまばたきのコツはシンプルで、上まぶたと下まぶたをしっかり0.5~1秒くっつけること。普段のまばたきが0.3秒ですので、いつもより少し長めに目をとじる意識です。これにより生じた圧力で涙腺が刺激され、涙液が分泌されます。すると、目の表面にある古い涙が新しい涙と交換されることに。

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涙にも、大事な役割がいくつもあります。血管がない目の表面に酸素や栄養を届けたり、目の傷を修復したり、殺菌作用を持つ物質で微生物の侵入を防いだりします。そして、目の表面をうるおしてなめらかにすることで、クリアな画像が目に入り、遠くと近く、見たいものにピントを合わせやすくしてくれてもいます。

涙はじつはずっと分泌されていて、目の表面をつねに理想的な状態で均一に覆おうとしています。それが達成できているか否かが、目の見える力と目の健康を大きく左右するのです。

まばたきは、まぶたの上げ下ろしの回数よりも、「きっちり深く」が大切です。ぜひ、いつもより少し長めにまぶたを着地させる意識で、目にうるおいを与えてあげてほしいと思います。1日2万回、目には回復するチャンスがあるのですから。

綾木 雅彦 慶應義塾大学医学部眼科学教室特任准教授、おおたけ眼科院長

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あやき まさひこ / Masahiko Ayaki

1982年、慶應義塾大学医学部卒業。1994~1997年、ハーバード大学に留学(医学部研究フェロー)。昭和大学医学部眼科准教授、国立病院機構埼玉病院眼科医長、国際医療福祉大学三田病院眼科准教授などを歴任。慶應義塾大学眼科学教室の研究者として世界最先端の知見を深めながら、「患者さん第一主義」を貫き、地域に高度な医療を提供。後進の指導にあたるほか、日本抗加齢医学会評議員などの要職も数多く務める。
「ブルーライト研究の第一人者」としても知られ、とくに子ども世代の視力を守る啓蒙活動に力を入れている。最近は老眼とドライアイについての論文も多数執筆している。

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