まばたきを軽視する人を襲う、目のダメージの正体 「5回に1回失敗」して、日本人の目がいまデコボコ

✎ 1 ✎ 2 ✎ 3
拡大
縮小
スマホを見る女性
スマホの見すぎに注意です(写真:rainmaker/PIXTA)

私は2015年から毎年、計1万2000人の患者さんの目の乾き具合を記録しています。結果、コロナ禍以降、涙の量は平均13%、目の保湿機能は平均23%減少していることがわかりました。在宅勤務によるパソコン作業時間の増加、スマホ時間の増加、そして環境の変化によるストレスが大きな要因と推測されます。

起きている間のすべてのまばたきのうち約18%、つまり5回に1回は、残念ながら不完全なまばたきに終わっている(とじきっていない、速すぎる)と推計されています。

まばたきが速すぎると、涙は十分出ません。診察していると、一瞬だけ上下のまばたきがくっつく「タッチアンドゴー」の人はとても多い印象です。

2015年から取り続けている患者さんのデータを分析しても、2015年は全体の5割、2022年は全体の約7割の人の目がデコボコになっていることが判明しています。不完全なまばたきにより、目の表面からうるおいがなくなっている人はとても多いのです。

目の涙液で「くっきり」見える

私たち現代人の1度のまばたきは、平均0.3秒といわれます。一日16時間起きている人が、まばたきのために目をつむる時間の累計は約96分。つまり、起きている時間の約10%は暗闇です。

この1割の時間で、まばたきは目に必須の作業をしています。

まばたきすることで、まぶたがワイパーのように目の表面をなぞって涙を塗り広げてくれます。角膜が車のフロントガラスだとしたら、まぶたはワイパー、涙が洗浄液です。細かなごみも瞬時に取り除き、適度なうるおいを与え、表面を整えてくれます。

次ページまばたきは回数よりきっちり深く
関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT