私は2015年から毎年、計1万2000人の患者さんの目の乾き具合を記録しています。結果、コロナ禍以降、涙の量は平均13%、目の保湿機能は平均23%減少していることがわかりました。在宅勤務によるパソコン作業時間の増加、スマホ時間の増加、そして環境の変化によるストレスが大きな要因と推測されます。
起きている間のすべてのまばたきのうち約18%、つまり5回に1回は、残念ながら不完全なまばたきに終わっている(とじきっていない、速すぎる)と推計されています。
まばたきが速すぎると、涙は十分出ません。診察していると、一瞬だけ上下のまばたきがくっつく「タッチアンドゴー」の人はとても多い印象です。
2015年から取り続けている患者さんのデータを分析しても、2015年は全体の5割、2022年は全体の約7割の人の目がデコボコになっていることが判明しています。不完全なまばたきにより、目の表面からうるおいがなくなっている人はとても多いのです。
目の涙液で「くっきり」見える
私たち現代人の1度のまばたきは、平均0.3秒といわれます。一日16時間起きている人が、まばたきのために目をつむる時間の累計は約96分。つまり、起きている時間の約10%は暗闇です。
この1割の時間で、まばたきは目に必須の作業をしています。
まばたきすることで、まぶたがワイパーのように目の表面をなぞって涙を塗り広げてくれます。角膜が車のフロントガラスだとしたら、まぶたはワイパー、涙が洗浄液です。細かなごみも瞬時に取り除き、適度なうるおいを与え、表面を整えてくれます。
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