「楽器はほぼ弾けず」売れっ子作詞作曲家の原動力 オリコン1位120回超、ヒットメーカーになれた訳

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自分がやるべきことは、「作曲家やアーティストの方に喜んでもらうこと」だと岡嶋さんはきっぱり言い切る。自分のエゴは持ち込まないのが、プロとして仕事に取り組むうえでのポリシーだ。

ものをつくる人間は、どうしても自分が何を表現したいかを優先しがちかもしれない。けれど、仕事である以上、求められるのはクライアントの要望をくみ取る力。

自分のエゴではなく、相手の成功をゴールに設定したクライアントファースト精神が、岡嶋かな多を“推したい”仲間を増やしていったのだろう。

「知らないもの」に対して否定から入らない

2017年、作詞作曲を務めた三浦大知の『EXCITE』がレコード大賞優秀作品賞を受賞。同じく作詞作曲を手がけたBTSの『Crystal Snow』が世界17カ国で1位を獲得するなど、音楽業界にその名を知らしめた岡嶋さん。

トレンドの移り変わりが激しい世界でつねに第一線を走り続けるその姿には、私たちの仕事にも役立つさまざまなビジネスマインドが隠されている。

「今って人によって聴いている音楽のジャンルはさまざまで、YouTubeで1000万回再生されているような曲でも、『まったく知らない』人がいてもめずらしくない。

それだけ嗜好の多様化が広まっているからこそ、大事なのは未知のものに対して否定せず、向き合うこと。

好みじゃなかったり関心がなかったりするジャンルを『よくわからない』の一言で切り捨てるのは簡単。

でも、私はそこで『なるほど。どうしてこの曲はこんなに売れてるんだろう。どうしてこの曲はこんなに再生されてるんだろう』と考え、ヒットのエッセンスをくみ取るようにしています」

最近では、「SNSでバズる曲を作ってほしい」というオーダーが入ることもある。

こうした難しい課題に対しても、岡嶋さんは「まずは受け入れる」という。

「難しいと感じることを否定するのは簡単かもしれない。でも、バズるという現象自体も今の世の中の特長だと思うし、そこからまた新しいトレンドが生まれることもある。

決してトレンドを追うことがすべてだとは思わないですし、全部に乗っかろうと思っているわけでもありませんが、少なくとも自分がトライしたことのないものであれば、頭から拒絶するのではなく、まずやってみる

そして、それが面白ければまたやりますし、そうでないなら無理をしない、というのが今の私のスタンスです」

(写真:小黒冴夏)
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