「楽器はほぼ弾けず」売れっ子作詞作曲家の原動力 オリコン1位120回超、ヒットメーカーになれた訳

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音楽活動やアルバイトの傍ら、寝る間を惜しんで歌詞を書く日々。

その努力が実を結び、コンペを勝ち抜き、ある人気アーティストの楽曲に作詞提供することが決まった。

(写真:小黒冴夏)

「当時はまだ渋谷のTSUTAYAでアルバイトをしていたんですけど、スクランブル交差点のあの大画面に私のデビュー作のMVがドーンッと流れたんです。

それを出勤するときに見て、身震いしました。感動で震えたのは人生初めての経験。あのときの感覚をもう一度味わいたい。

そんな思いから、アーティストに詞や曲を提供するためのコンペに参加する回数をどんどん増やしていきました」

岡嶋さんの「作品至上主義」という考え方

作詞家や作曲家として活躍できる人はほんの一握りだが、デビューのチャンスを探している人は多い。

その中で、岡嶋さんにコンペ参加のチャンスが何度もめぐってくるようになったのは、過去に一緒に仕事をした人からの紹介があったからだという。

「自分で自分のことを売り込むのがどうも苦手で……。私は性格がチキンでして、ガツガツ営業したりができません。

ですが、ありがたいことに、過去にお仕事をご一緒した方たちが、『作詞できる子がいるよ』とアーティストやレコード会社の方に私を紹介してくださって、そこから新しいお仕事をいただく機会が増えていきました」

自分で営業するのではなく、他人が自分のことを営業してくれる。ビジネスチャンスを広げるうえでは、まさに理想的なパターンだ。

では、なぜ岡嶋さんと一緒に仕事をした人は周りに岡嶋かな多を推薦したくなってしまうのか。

そこには、「自分至上主義」ではなく「作品至上主義」という岡嶋さんらしい考え方があった。

「仮歌も仮詞も、その曲をレコード会社の方に提案するためにつけるもの。だから、自分が目立とうという気持ちはなくて。

大事なのは、いかに曲が良く聴こえるか。たとえ最高にいいフレーズを思いついたとしても、そのフレーズとメロディーを合わせたときに曲が良く聴こえないのであれば、躊躇なく歌詞はゴミ箱行きにします」

次ページ自分のエゴは持ち込まず、クライアントの要望をくみ取る
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