50歳で「記憶力抜群な人と覚えられない人」の差 「関心」「使って復習」「覚えるより意味を理解」

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というわけで、50歳からの記憶法についてまとめておく。大切なのは次の3つだ。

①関心
関心がなければ、覚える気にもならない。なんらかの目的がなければ、意欲が続かない。

②使って復習
大人になると、圧倒的に復習の量が減る。これを補うためには、覚えたことをできるだけ日常会話のなかで「使う」ことだ。すなわち、アウトプットしていくこと。アウトプットしながら、記憶に定着させていくのだ。

③覚えるより意味を理解
ランダムに並んでいるアルファベットを順に覚えるのはたいへんだろうが、それが何かを表す単語なら覚えられる。意味を理解するからである。きちんと意味を理解し、場合によっては、そのことにまつわるエピソードや関連知識も調べてみる。そして、誰かに話したり、ネット上で原稿にまとめてみたりすることだ。驚くほどよく覚えていられることがわかるだろう。

10のコツ

もう少し各論を加えつつ、10のコツにしてみると、次のようになる(さらに詳しく知りたい方は、拙書『40歳からの記憶術』(ディスカヴァー携書)をご覧いただきたい)。

①インタレストを持つ
②覚えることを減らす
③覚えたい事柄について、納得するまで理解を深める
④覚えることは減らしても、それぞれについての付帯情報は増やし、想起のキューをちりばめておく
⑤既存の知識と関連づけ、知識を加工して覚える
⑥エピソード記憶にする
⑦感覚器や身体活動も含めたセットとして覚える
⑧効果的なアウトプットから逆算してインプットする
⑨十分な睡眠を心がけ、ベストな状態に自分を保つ
⑩何度も使う

「使う」ということについては、書く・話すというアウトプットを行うことがもっともよい。

ちなみに、アウトプットの機会を持つことは、50歳からの記憶法として非常に効果的なだけではなく、そもそも記憶する目標にもなる。そのほうが話が面白い人間にもなれる。

目標を持つことで、関心の幅も拡がり、覚えたいことに対する理解も深まるのである。

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和田 秀樹 精神科医

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わだ ひでき / Hideki Wada

1960年、大阪府生まれ。東京大学医学部卒業。精神科医。東京大学医学部附属病院精神神経科助手、米国カール・メニンガー精神医学校国際フェロー、浴風会病院精神科医師を経て、現在は和田秀樹こころと体のクリニック院長。高齢者専門の精神科医として、30年以上にわたって高齢者医療の現場に携わる。『70歳が老化の分かれ道』(詩想社新書)、『80歳の壁』(幻冬舎新書)、『60歳からはやりたい放題』(扶桑社新書)、『老いたら好きに生きる』(毎日新聞出版)など著書多数。

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