「FD RX-7」マツダの神髄を極めまくった車の軌跡 今でも魅力十分な、世界に誇れたピュアスポーツ

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マツダの3代目RX-7の内装
有機的なカーブが多用されたダッシュボード(写真:マツダ)

実際、エンジン以外にも凝りまくった設計だった。

ロータリーエンジンは前車軸の後ろに搭載されたフロントミドシップレイアウト。これでスポーツカーが重視する前後の重量配分を、理想的な50対50にしていた。

エンジン搭載位置を下げ、コーナリング性能にとって重要な重心高を、先代RX-7より25ミリ低くすることに成功。同時に軽量化が行われ、車重は100キロ以上軽くなっていた。

サスペンションシステムも軽量化がはかられるとともに、設計が徹底的に見直されていた。

クルマは走行中にあらゆる方向からさまざまな入力を受けるために、理想的なコーナリングラインなどの実現がむずかしい。

マツダでは、液体封入ラバーブッシュやピローボールのマウントなどをサスペンションシステムに採用。クルマにかかる重力などの影響を減じて、素直なステアリング特性の実現をめざしていた。

これをマツダでは、「4輪ダイナミックジオメトリーコントロール機構」と名づけていた。

マツダはFD・RX-7を改良し続けた

ブレーキシステムもおごっていた。前輪には対向4ピストンのアルミニム製キャリパー付きの通気式ディスクを採用。

ブレーキのマスターシリンダーはシングルでなくタンデム(縦列)。2重の安全構造を採用したのは、ブレーキが壊れたら勝てない(そもそも危険)という“レース屋”的発想、と感心したものだ。

冒頭でふれたとおり、当初は「アンフィニ」チャネル用のモデルとして開発されたFDだったが、1996年に「マツダアンフィニ」に店舗統合が行われたのを機に、翌1997年に、マツダRX-7となった。

マツダの3代目RX-7、FD型と呼ばれていた
アルミニウム製のダブルウィッシュボーンタイプのサスペンションを採用(写真:マツダ)

マツダは、このクルマに改良を施し続けた。そこもすごい。1992年には、そもそも1300キロを切っていた車重をさらに30キロ軽量化した特別仕様車「タイプRZ」を発売。

1993年には、サスペンションシステムを改良し、かつ、シートを2座にした「タイプR-2」を発表。1996年にはマニュアル変速機搭載車の出力を265馬力に引き上げた。

次ページ最後は自主規制いっぱいの280馬力までパワーアップ
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