「英語はできたほうがいい」と思う親の残念な盲点 人気講師「関正生」が早期英語教育に反対するワケ

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「英語もできたほうがいい」という前に、「もっと大事なもの」にしっかりと取り組んでこそ英語の力が活きるわけです。「もっと大事なもの」が何かは各自の価値観で千差万別です。

世間には「10 年後は未知の世界だから英語を!」という論調がありますが、僕に言わせれば「10年後は未知の世界だから、英語の前にもっと大事なものを磨き上げよう!」なのです。

僕は英語を教える仕事を30年近くやってきましたが、ここ数年の世間の激変ぶりからこんなことを言い出したわけではありません。19歳で初めて塾で教えたときから同じ考えです。その授業を受けた生徒の中で、「英語にとらわれずに」、いや「英語にとらわれなったからこそ」自分が満足できる人生を歩んでいる人を紹介してみたいと思います。

小5から通った英語塾を1年でやめてしまったSさん

1人目はSさんという女性で、小5から英語塾に通ったものの、単調な暗記とゲームばかりの内容に魅力を感じず、1年でやめてしまったそうです。

他の科目は塾に通い続け、公立高校から国立大学に現役合格(僕が教えていたのは高校3年時)。就職は第一希望の超有名外資系企業に採用されました。そこでの仕事はすべて英語ですが、大学に入ってからほとんど英語に触れなかった彼女のTOEICテストは700点台でした。

世間的には立派な数字ですが、大学生がトップの外資系企業を受けるにはだいぶ低い点数です(今や大学生であってもトップ層は、800点は当たり前で、900点オーバーも珍しくありません)。

しかし彼女は難なく内定を勝ち取りました。ちなみに、その企業を一緒に受けた彼女の友人はTOEICテスト970点だったものの、書類の一次審査で落選だったそうです。

内定後に、その企業のアメリカ人役員から「優秀な人材であるなら、英語は後からいくらでも訓練できる」と言われたとのことです。事実、入社前のトレーニングと、実際に働きながら英語を学び、海外赴任も経験して、今は外国人の部下も抱えて順調にキャリアを築いているとのことです。

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