「英語はできたほうがいい」と思う親の残念な盲点 人気講師「関正生」が早期英語教育に反対するワケ

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●憧れを見せる

僕自身は小さいころ、英字新聞を読む姿に憧れました。コンビニで売っているので、たまに買ってみるのもいいでしょう。小学生にはまったく読めませんが、それでいいのです。

また、単純に英語を使っている保護者の姿が、お子さんの心に響くこともあります。昨今のリモートワークの浸透により、今まで一体どんな仕事をしているのかわからなかった自分の親が、家で、流暢に英語でミーティングをしている姿は相当なインパクトがあるでしょう。

余談ですが、乳幼児にとっては、自分の親が意味不明な言葉(英語)を話して笑ったりする姿が奇異に映るらしく、泣き出してしまったという話を知人から聞きましたが、小学生ならそんな心配はいらないでしょう。

●正論ときれいごとを避ける

いくらどんな正論・きれいごとを言ったところで、子どもには響きません。また、どこかで保護者側の「英語を話せるようになってほしい」という思いを感じ取ってしまい、多くの子はそれに反発するものです。

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中には反発せず、言うことを聞く子もいるのですが、それはそれでよくありません。医学部を目指す高校生と話をするうちに、「いや、本当は小説家になりたかったんだけど、親のプレッシャーが……」と漏らす子はそれなりに多いのです。

正論としてよくあるのが「これからの国際化社会では英語が必須」といったものです。みなさんが中学生だった数十年前にも同じことが言われていたはずですが、真面目な人を除いてあまり心には響かなかったのではないでしょうか(少なくとも僕にはまったく響きませんでした)。

また、どこかから借りてきた言葉も絶対にNGです。「英語ができれば10億人と話せて友だちになれる」といった類いのものも、キャッチコピーならいいかもしれませんが、子どもの心に刺さることはありません(今はオンラインゲームで数人とつながるほうが魅力的に思えるのです)。少なくとも、保護者がどこかから借りてきた言葉を発したところで、直感的に子どもは見抜きます。普段の言動とズレがあるからです。

それに、そもそもそんなことは保護者自身が本当に願っていることではないでしょう。わざわざ英語を勉強したことの一番の見返りが「友だちができること」だとご自身が信じていないのであれば、お子さんにも響きません。そして(悪気はないとは言え結局は)嘘をついたみなさんの言葉は信用されなくなり、英語も親の言葉も一緒に嫌われてしまうのです。

ここでお伝えしたことをすべて行う必要はないので、何か1つでも取り組めることからトライしてみてください。

関 正生 英語講師・語学書作家

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せき まさお / Masao Seki

1975年東京生まれ。慶應義塾大学文学部卒業。TOEICテスト990点満点取得。オンライン予備校「スタディサプリ」で、毎年、全国の小中高生・大学受験生90万人以上に講義を、また、大学生・社会人にTOEICテスト対策の講義を行っている。九州大学・明治学院大学、企業での講演も多数。著書に『大学入学共通テスト 英語が1冊でしっかりわかる本』など。

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