「英語はできたほうがいい」と思う親の残念な盲点 人気講師「関正生」が早期英語教育に反対するワケ
「早くから英語をやらなくてもうまくいく」と聞いた後に、「じゃあ何をすれば?」「でも英語は何かやっておきたい」という気持ちになると思います。ただ、英語そのものの話はもう少しだけ待ってください。保護者の方に、いや、保護者だからこそできる(教師・講師にはできない)ことがあるからです。まずはそれをここでお話ししていきます。
英語が本当に必要になったとき、その必要性が他のことを上回れば、自分から英語に取り組むはずです。というか、取り組まざるをえないのです。一番わかりやすい例が受験です。受験科目で必要であれば英語を勉強するに決まっていますよね。
でも小学生の段階では、中学受験の科目に英語があることはまだ少なく(増えてはいますが)、多くの人にとっては数年先の高校受験で初めて英語が受験科目になります。また、受験で必要とはいえ、嫌々取り組むのは避けたいですよね。
そこで保護者の方に意識してほしいのが「英語を一番に置かない」という考え方です。「とにかく英語」と考えるのではなく、「英語よりも大事なものがある」ことを強く意識してください。
例えばお子さんが「お医者さんになりたい」と言ったとき、えてして保護者は「医学部なら今のうちに勉強を」と焦ってしまうのですが、まずは「医師になりたい」という気持ちを大切にしてください。その気持ちが強ければ、黙っていても英語に取り組みます。過去、医学部に受かった僕の生徒たちは例外なく全員がそうでした。
「〇〇になりたい」とまでいかなくても、「〇〇が好き」「〇〇をしているときが楽しい」というものがあれば十分です。もしそれも見つからないなら、そのときは保護者の出番です。一緒に探したり、提案したりするのです。
ただしここで最大限に注意してほしいことがあります。お子さんの言葉を字面通り受け取るのはよくないです。例えば「算数が好き」といっても、必ずしも算数、その先にある数学の世界観が好きとは限らず、パズル感覚で解く快感だったり、どんどんドリルを進める感覚が好きだったりということもあるからです。
極論すれば、「お医者さんになりたい」という子は、本当に医療に興味があるのではなく、「カッコいい医者に憧れているから」とか「そのように言えば周りの大人が褒めてくれるから」ということだってありうるのです(僕はこの話を予備校の医学部クラスでするのですが、当たりすぎてみんな苦笑いしますし、「確かに」と考え直す受験生は少なくありません)。
お子さんのなりたいもの・好きなもののきっかけをしっかり汲み取り、なぜそう思うのか、どう目指すのか、を理解することが大切です。そしてその過程で英語をやる必要性を「こじつける」のが保護者の役割です。「こじつける」といっても難しいことはなく、「だったら、ここで英語ができたほうがいいよね」と言うタイミングをうかがうだけです。
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