憂鬱な人がわかってない「気分の落ち込み」の正体 「誰も教えてくれなかった」一生役立つ心の健康法

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気分の落ち込みは、誰にでもあることです(写真:Graphs/PIXTA)
気分の落ち込み、不安、ストレス、自信喪失……普段の生活の中で、心の浮き沈みは誰もが経験することでしょう。
心理学者にして臨床心理士のジュリー・スミス博士は、2019年からメンタルヘルスについてのアドバイス動画を投稿し始め、現在SNS総フォロワー数は300万、寄せられた「いいね」の数は2000万超え、イギリス公共放送BBCで特集される程の人気を集めています。
科学的根拠に基づきながら、自身やクライアントが実践して役立つことがわかった知識を網羅的に紹介する初の著作『一番大切なのに誰も教えてくれない メンタルマネジメント大全』より、一部抜粋、再構成してお届けします。

気分について、まず知っておきたいこと

誰にでも、気分が落ち込む日はある。

誰にでも。

しかし、落ち込みの頻度や程度は人によって違う。

臨床心理士として長年働いてきてわかったのは、人は気分の落ち込みに苦しんでいながら、それを誰にも言わないということだ。友人にも家族にも、決して明かそうとしない。落ち込みを隠し、目をそらし、周囲の期待に応えようとする。そのようなことを何年も続けた末に、セラピーを受けに来る人もいる。

彼らは、自分はどこかおかしいのではないかと感じている。そして、気分の落ち込みを脳の欠陥と見なし、それを変えることはできないと思い込み、隠そうとする。日々、するべき仕事をこなし、そうすべき相手には笑顔を見せるが、いつも気分は少々むなしく、楽しめるはずのことを楽しめない。

ここで少し、体温について考えてみよう。今、皆さんは、暑すぎる、寒すぎる、あるいはちょうどいいと感じているかもしれない。暑いとか寒いとか感じるのは感染症や病気の兆候かもしれないが、その時の状況の反映にすぎない場合もある。たとえば暖かな上着を着忘れたとか、急に雨が降りだしたといったことだ。もしかすると空腹や脱水状態のせいかもしれない。また、発車しそうなバスに駆け込むと、体温は上がるだろう。このように体温は体の外と内から影響を受け、わたしたちは体温をいくらか上げたり下げたりできる。

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