路上でもキャッシュレス「インド猛烈DX」の実態 「途上国モデル」のデジタル革新はまさに爆速

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インドの高官たちによれば、このデジタルインフラは簡単に言えば「線路」なのだという。政府によって敷かれたこの線路の上では、イノベーションを低コストで引き起こすことが可能となる。

その中心にあるのが、国民一人一人に「アーダール」と呼ばれる固有の識別番号を割り振る壮大なキャンペーンだ。アーダールに関する取り組みが始まったのは2009年、モディ氏の前任者、マンモハン・シン首相(当時)の下でのことだった。モディ氏はプライバシーの懸念をめぐる長年の法的課題を乗り越え、取り組みを加速させた。

インド政府によると、今では成人の99%が生体認証ID番号を保有し、発行総数は13億を上回る。

IT大手インフォシスの共同創業者で、インドのデジタル身分証明に関する取り組みに初期の段階から関わってきたナンダン・ニレカニ氏は、インドが技術的な跳躍を成し遂げられたのは、既存のデジタルインフラがほとんど存在しなかったからだと話す。「インドはまっさらな状態から、新しく築き上げることができた」。

取引手数料ゼロの決済プラットフォーム

アーダールを持っていれば銀行口座の開設が容易になる。アーダールはまた、「統合決済インターフェース(UPI)」と呼ばれる即時決済システムの基盤ともなっている。UPIはインドの中央銀行による取り組みで、非営利団体によって運営されており、数百の銀行と数十の決済アプリのサービスを取引手数料無しで提供している。

同プラットフォームを監督するインド決済公社の幹部によると、1月には約80億回、およそ2000億ドル相当の取引がUPI上で行われた。

インドにおける昨年の即時デジタル取引の総額は、アメリカ、イギリス、ドイツ、フランスのそれをはるかに上回る。「4カ国の総額を足し合わせ、それに4を掛けてもまだ足りない」。インドのアシュウィニ・ヴァイシュナウ鉄道・通信・電子・IT相は1月の世界経済フォーラムで、そう言った。

UPIは急成長しており、インド決済公社の幹部によると、現在では3億人近い個人と5000万近い業者に利用されているという。デジタル決済は極めて小さな金額の支払いにさえ使用されており、50%近くが少額またはマイクロ決済に分類されている。

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