ニューヨークで話題の「古代穀物」って何? 日本で話題のキヌアはもう古い!
これは、輸入品のファッロが精白されている、つまり表皮が取り除かれているからだ。精白により栄養価は下がるが調理は簡単になる。(なお、正確を期すために書いておくと、ファッロはある特定の穀物の名前ではない。エンマー、一粒、スペルト小麦などの古代穀物を総称する名前だ)。
取材をしたシェフの大半が、未精白の穀物はパスタと同じように調理すると話した。つまり、たっぷりのお湯に塩を入れ、柔らかくなるまでゆでるのだ。ゆであがった穀物は、穀物が必要なスープやサラダ、リゾットなどのレシピに、相互に入れ換えて使える場合が多い。
タパスレストランのチキートでは、シェフのアレックス・ライは一粒小麦を仔牛のスープストックで煮て、ポルチーニ茸も入れてスープとして出している。
ライが一粒小麦やエンマー、スペルトなどを使い始めたのは、数年前にグリーンマーケットで発見してからだと言う。「地元の食材を使うメリットは、カルスティアンズ(アジア食材などを扱うニューヨークの商店)で買えるものよりも新鮮なことだ。貯蔵用の紙袋のにおいもしない」。
発芽させてから調理するシェフも
ブルーヒルでは、シェフのダン・バーバーがあらゆる種類の穀物を使っているが、彼が特に好きなのは、ソバの実や大麦、ライ麦など、米国北東部の厳しい気候でも生き抜けるような丈夫な穀物だ。
「ライ麦はすばらしい穀物で、驚くほど豊かな味わいがある。だが、米国ではそれほど食べられていない」と、バーバーは言う。
バーバーは未精白穀物を調理する前に、発芽させるのを好む。発芽するまで、湿度の高い環境に置いておくのだ。すると、ビタミンやほかの栄養素が増えてくる。
そこまでしないのであれば、バーバーは穀物を洗って調理する前に、一晩水に浸しておくことを勧める。「そうすると複雑な味が出て、風味と甘さが増す」と彼は言う。
しかし、最初のステップは、まず古代穀物をキッチンに持ってきて、よく知ることだ。「ハース・レストラン」のシェフ、マルコ・カノーラは言う。「今では穀物にも物語がある。どこで育てられ、誰が育てたのかを知る必要がある」。
(執筆:Melissa Clark記者、翻訳:東方雅美)
(c) 2015 New York Times News Service
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