インドの朝食に「アメリカ流」が浸透したワケ あのシリアル最大手が進出時の失態を克服

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デリーの自転車タクシードライバーの朝食。今でもインドの食事は、カレーとナンを中心としたものが多い(写真:Photoshot/アフロ )

ケロッグ社は、世界有数のシリアルやインスタント食品の製造会社であり、米国発の最も成功した世界的ブランドのひとつといえるだろう。シリアルでは非常に人気のあるブランドであり、世界中の160を超える国で販売され、売上高は100億ドル以上になる。

同社がインドへ進出したのは1994年初期。ケロッグは世界中の他の市場で用いてきたのと同じようなマーケット戦略を用いた。つまり、冷たいミルクをかけて食べるシリアルを普及させ、温かい朝食に慣れたインド人の朝食習慣を変えてしまう、という戦略だ。

ところが、インドにおける朝食の習慣は地域ごとに異なっている。北部では小麦主体のものを好み、南部では米主体のものを好む。そして西部ではどちらか一方、またはヨーロッパ風の朝食が普及している。ケロッグは、こうした各地域の特性を考慮せず「インドの消費者が従来の習慣から、より健康的なシリアル朝食へとすぐに変わること」を望んでいたが、それは大きな挑戦となった。

インドの消費者に根付いた食習慣は、非常に強固である。それを変えなければならず、インドはケロッグにとって非常に困難な市場となった。現在、ケロッグは50億ルピーに上るインドの朝食シリアル市場の60~65%を占めているが、進出当初は苦労が多かった。いったい、どのような苦労と失敗があったのだろうか。

進出初期に犯した失敗

ケロッグのインドでの初期の販売商品は、コーンフレーク、小麦フレーク、バスマティ米フレークなどであった。販売商品は高品質で、かつ親会社による技術的、経営的、財政的な支援も強力だった。にも関わらず、ケロッグ製品はインド市場で失敗した。メディアの積極活用による人目を引く商品立ち上げも、市場に好影響を与えることはできなかった。

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