インドの朝食に「アメリカ流」が浸透したワケ あのシリアル最大手が進出時の失態を克服

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そうした中で、「消費者はケロッグ製品の味を拒否している」といった、製品そのものに関する否定的なマスコミ報道も増えた。流通体制も整っていなかったため、購入をしたいと考えている消費者からは、商品が手に入らないという苦情も相次いだ。

アナリストによると、100箱販売するうち、再購入は2件だけで、残りの98件は初めての購入であった。こうした「試しに購入する人々」を「再購入者」にすることがケロッグの重要課題となった。

初期の広告において、大きな失態も演じていた。

ケロッグは「インド人が朝食に食べているものは全く健康的ではない」と強調したが、このことは長年家族のために伝統的な朝食を作り続けているインド人女性の感情を逆なでした。そうした広告を打つことで、家族の中でもっとも影響力を持ち、最初に行動を起こす人達のグループを敵に回してしまった。

また、インド人が食べている朝食は、ケロッグの現代的なコーンフレークに比べて、バラエティに富んでおり価格も安価であった。つまり、インドの消費者が従来の朝食を捨てて、わざわざシリアルに切り替えるのは、極めて困難なことであった。これに加えて、インドの消費者は朝食に温かいミルクを飲むという別の文化的側面をケロッグは理解していなかったようだ。つまり、コーンフレーク(シリアル)は冷たいミルクをかけて食べるのが望ましいものだが、インド人はコーンフレークを食べるとしても、温かいミルクに浸してしまう。そうすると、コーンフレークのサクサク感がすぐに完全に損なわれてしまうのである。

こうしたさまざまな問題によって、インドにおけるケロッグの1995年の売り上げは、事業開始の年である1994年と比べて25%も落ち込んだ。

インド特有の戦略とは?

初期の失敗からいくつかの教訓を学んだケロッグは、マーケティング戦略だけでなくブランド戦略も完全に変革し、インド特有のものを実施することにした。

最初に行なったのは、商品の小分け化だ。インド人消費者の価格感応性を打開するために、小さなパックサイズの商品をわずか10ルピーでインド市場向けに発売。また、インド人大衆が持つ、ハリウッドスターに対するあこがれを活用することを決め、「スパイダーマン2」の限定版を発売した。

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