インドの朝食に「アメリカ流」が浸透したワケ あのシリアル最大手が進出時の失態を克服

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現在行われているインドにおけるプロモーションの例

現地の言葉も活用した。改良商品の販売の際に、「鉄分シャクティ(Shakti=『力』という意味のヒンディー語)やカルシウムシャクティが含まれたコーンフレーク」といった形で現地の言葉をいくつか使用したことは、若い消費者を引き付けるためにいい戦略であった。

商品パッケージは、消費者にブランドの考え方や情報を伝えるための効果的なツールとして使用され、商品棚において競業会社との差別化をもたらした。

またケロッグは、 自らを「社会的責任のある市民」と表現することにより、ブランドを構築するための取り組みを開始。材料のリサイクルや再利用をしたり、現地コミュニティにおける保険福祉サービスの利用を改善した。こうした動きは、ケロッグというブランドをインド市場向けに設計し始めたことを示している。

インド人の味の好みに適応

さらに、インドの消費者向けに商品を改良。インド人は味のしっかりした食品を好むため、砂糖をまぶしたフロスティを発売したり、商品の幅を広げるためチョコレートでコーティングした小麦のチョコワを投入するなど、インドでも多彩な商品展開を行なった。また、インド市場での存在感を増すために、より多くの人々に商品をアピールしていくことを決めた。

加えて、 価格に敏感なインド人消費者にとって手頃な価格を実現するために、原材料やパッケージの材料のすべてを現地調達することでコストを削減。輸送費全般を削減するためインド国内に製造工場を設立し、徹底的な現地化を進めた。

こうしたさまざまな戦略によって、朝食用シリアル市場において60~65%のマーケットシェアを得ることに成功。市場リーダーとなったが、事業をさ らに拡大するために、ケロッグは朝食だけでなく夜食用のブランドとしても宣伝していくことを決定。現在では、学校に通う子どもたちが母親にケロッグのシリアルを買って欲しいとお願いする。ブランドが確立されたということであろう。

帝羽 ニルマラ 純子 インドビジネスアドバイザー

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ていわ にるまら じゅんこ

インド共和国・バンガロール生まれ。法政大学大学院修了。来日以来14年間で、日印コンサルタント会社起業を経て、現在インドビジネスアドバイザーとグローバル人材トレーナーとして活躍。著書には、2013年にインドの諺について日本語で解説した『勇気をくれる、インドのことわざ』がある。インドの諺を日本語で紹介する本の発行は、長い日印の歴史でもこれが初。2014年には『日本人が理解できない混沌(カオス)の国 インド1―玉ねぎの価格で政権安定度がわかる!』 『日本人が理解できない混沌の国インド2―政権交代で9億人の巨大中間層が生まれる』発行。

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