「コオロギ給食」への批判が珍しく納得できる理由 昆虫だけでなく多岐にわたる“苦情の成分"
この数日間、「コオロギ給食」という見出しがネット上やテレビで飛び交い、物議を醸しています。
このニュースが最初に報じられたのは昨年11月。徳島県の小松島西高校でコオロギパウダーを使った給食を出したことが報じられると、すぐに賛否の声がネット上に書き込まれました。しかし、「学校給食にコオロギが導入されたのは日本初」「食糧問題を考える契機に」というポジティブなニュアンスの報道が多かったからか、大きな騒動にはならずに終了。しかし、2月末にも食用コオロギエキスを使った給食を出したことがわかると、論争は一気に過熱しました。
もちろん、「食べる・食べないは選択制だから問題ない」「食糧問題を考えると素晴らしいこと」などと称える声も見られます。また、2日放送の「スッキリ」(日本テレビ系)は、FAO(国連食糧農業機関)の「昆虫食に関する報告発表」を紹介したほか、「栄養豊富なタンパク質」「栄養素を多く含む」「エサが少なく環境負荷が少ない」「狭いスペースで飼育可能」という昆虫食のメリットを挙げるなど、肯定的なスタンスをとっていました。
しかし、批判はそれ以上に大きく、「コオロギの安全性や衛生面は大丈夫なのか」「なぜ子どもの給食でなければいけなかったのか」「未熟な子どもに食べるかどうかを選択させるのはおかしい」「アレルギー対策も十分ではなかったのでは」「急にコオロギを推しすぎていて、何らかの思惑や利権を感じる」などの厳しい声が殺到。また、小松島西高校、徳島県教育委員会、コオロギパウダーを提供したベンチャー企業・グリラスにも批判の声が寄せられているそうです。
批判はコオロギに限らず多岐にわたる
この状況に「スッキリ」MCの加藤浩次さんは、「『食べたくない人には食べなくていいよ』って言ってるのに。“苦情の成分”をちゃんともう1回見ないと。『苦情が何件来たからやめます』っていうのは、もうこの日本でやめましょうよ。日本がシュリンク(縮小)する1つの原因だと思う」などと熱く訴えかけていました。
ただ、加藤さんの言う通り、“苦情の成分”をちゃんと見ていくと、批判ありきの苦情ではなく、考えさせられ、納得させられるものが多いように見えるのです。
ネット上に書き込まれた批判の声に考えさせられ、納得させられるのは、「それだけ多くの論点が混在したニュース」だからでしょう。言い換えれば、加藤さんの言う“苦情の成分”がコオロギに限らず多岐にわたり、しかも軽視できないものばかりなのです。
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