放置された「古民家」が"宝の山"と言える納得理由 「もったいない」から生まれた循環型ビジネス

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住む人、管理する人がいなくなり解体される古民家は増えている(写真:『”捨てるもの”からビジネスをつくる』より)
気候変動、大気汚染や資源不足など、環境問題が深刻化していくなかで、企業の大小を問わずSDGs経営の必要性が叫ばれています。そのような中、各種メディアで注目されているのが循環型ビジネスの可能性を広げる山翠舎です。古民家から古木を収集・備蓄・整備し、単なる販売に止まらず設計・施工までも手掛けることで再利用を促しながら、事業の領域を広げる同社の取り組みを取り上げた、同社の山上浩明社長の書籍『”捨てるもの”からビジネスをつくる』の中からサステナブルなビジネスのヒントを紹介します。

強力なコンテンツとしての古民家

私の地元でもある長野県にはたくさんの古民家が残されています。それは東京や大阪のようにそれほど開発が進まなかった田舎であるから、とも言えますが、私はこの古民家を貴重な資産だと考えています。

観光庁によると、新型コロナウイルスの感染拡大が始まる直前の2019年、訪日外国人旅行者数は3188万人に達しました。このうち、訪日回数が2回目以上のリピーターは約6割を占めていたそうです。

初めて日本を訪れる外国人は、成田空港から入国して東京観光をし、箱根、富士山、名古屋、京都、大阪を経由して関西国際空港から出国する「ゴールデンルート」をたどるケースが多いと聞きます。

しかし、日本を何度も訪れているリピーターは、ゴールデンルートを外れた田舎に足を伸ばします。そして、日本にしかない田園風景を満喫します。

なかでも古民家は日本でしか楽しめないコンテンツとして外国人の注目を集めています。普段から古民家を見慣れている地元の人は気づきにくいことなのですが、これはすごいことだと私は思います。

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