放置された「古民家」が"宝の山"と言える納得理由 「もったいない」から生まれた循環型ビジネス

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そこで考えついたのが、古木を取り込んだ設計提案を行うやり方でした。幸い山翠舎には長年蓄積してきた、古材施工に関するノウハウがある。また、古民家を解体する仕事も請け負っていたため、たくさんの古木を手に入れる機会もある。

これらを生かし、古木の風合いが特徴的な設計・施工を行えば、同業他社に勝てるおとわけです。

日本にとって貴重な財産である古民家を解体することなく、古木を新たな施工に生かすことができれば、環境に優しい建築ができる。その発想が、今の事業の原点となっています。

120年以上前に建てられた古民家がコワーキングスペースとして生まれ変わった「合間」(長野県・小諸市)(写真:”捨てるもの”からビジネスをつくる』より)

捨てられるものに着目してビジネスをつくる

私たちがやっているのは、「価値あるものを、必要とするターゲットに対してどう届けるか」です。それはビジネスにおいて基本中の基本で、古民家や古木だけでなく、あらゆる分野で成り立つことだとも考えています。

‶捨てるもの″からビジネスをつくる: 失われる古民家が循環するサステナブルな経済のしくみ
『‶捨てるもの″からビジネスをつくる: 失われる古民家が循環するサステナブルな経済のしくみ』(あさ出版)。書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします

例えば、山翠舎の取り組みを文章にすると次のようになります。

「価値があるのに捨てられている古民家・古木を生かす」

「その古民家・古木の価値を認めたり、必要としたりする人々をターゲットにする」

「捨てられる古民家・古木を再利用することの価値を積極的に発信したり、食材の見せ方を工夫したりして、価値を高める」

これら文章の「古民家・古木」の箇所を「食材」に置き換えてみてください。いかがでしょうか? まったく問題はありませんよね。

つまり、古民家・古木のビジネスでやったのとまったく同じこと、食材の分野でも行っていけるわけです。

捨てるものに着目し、ビジネスをつくる。

古民家・古木で私たちがやっているようなことが、さまざまな分野で新しいビジネスとして生まれてくることを心から願っていますし、またそのようなことを模索する人たちと協働できることを、私は心から楽しみにしています。

山上 浩明 山翠舎 代表取締役

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やまかみ ひろあき

1977年生まれ。長野県長野市出身。大学卒業後、2000年にソフトバンクに営業として入社。社長賞を受賞。2004年に山翠舎に入社し、2012年に代表取締役社長に就任。2021年には事業構想大学院大学にて事業構想修士を取得し、現在、空き家となった古民家などの社会問題解決を目指して新規事業を展開している。

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