「プロ野球の球場広告」意外と知らない驚く進化 地味に凄い!ZOZOマリンスタジアムのフル活用ぶり

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ZOZOマリン以外の球場でも、秀逸なアイデアを駆使した広告が掲出されている。ベルーナドームでは、昨シーズン前半ではスピードガンにスポンサーが付いていなかったが、後半では球団オフィシャルスポンサー10社を1球ごとに順番にローテーションする形になっていた。

横浜スタジアムは外野フェンス沿いに設置された幅1.92m、長さ76.8mのリボンビジョンに、ベイスターズの選手が三振を取ったときと、ヒットを打ったときに流れる動画にスポンサーを付けている。

昨シーズンは三振はJRAがスポンサードしたため、馬がレフト側からライト側を駆け抜ける動画プラスその日に獲得した三振の累計数も表示された。

この場所は2019年シーズンは三振、ヒットともにJR東日本がスポンサードし、三振のときは東北、上越、長野の3種類の新幹線の車両が連なって駆け抜ける動画、ヒットのときは臨時快速列車・伊豆クレイル(2020年3月運行終了)の車両が駆け抜ける動画だった。

PayPayドームでは昨シーズン、福岡県民のソウルフード・棒ラーメンの製造元であるマルタイが、両翼に設置されているポールをスポンサード。ポール直撃の本塁打を打ったホークスの選手に、1年分360食の棒ラーメンを贈呈する企画を打ち出したところ、5月5日に中村晃選手がポール直撃1号弾を放ち、1年分の棒ラーメンを獲得した。

ベルーナドームでも13年ぶりにポールへの広告掲出が復活し、音響機器メーカーのプリモがスポンサード。ライオンズの選手がポール直撃の本塁打を打つと、ヒーローインタビューで使われるプリモ製の高性能マイクまたはゲーム用のヘッドホンを、抽選でファンに進呈する企画を打ち出した。ちなみにプリモはZOZOマリンではリクエスト画像をスポンサードしている。

スポンサー獲得に知恵を絞る黒子たち

プロ野球の球団は使えるお金を増やすために稼ぐ。チケット収入もスポンサー収入も、増えればその分選手に年俸で報い、練習環境や観戦環境を改善できる余地が増す。

選手に帯同するベースボールオペレーション部門のスタッフには、ごくまれにとはいえ光が当たる機会がある。一方、収益を稼ぐ事業部門系のスタッフは、まず光が当たることのない完全な黒子だが、その彼らはスポンサー獲得に日々知恵を絞っている。

球場を訪れたら広告にも目を向け、黒子として選手を支える球団スタッフと一体感を味わってみるのも一興ではないだろうか。

伊藤 歩 金融ジャーナリスト

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いとう・あゆみ / Ayumi Ito

1962年神奈川県生まれ。ノンバンク、外資系銀行、信用調査機関を経て独立。主要執筆分野は法律と会計だが、球団経営、興行の視点からプロ野球の記事も執筆。著書は『ドケチな広島、クレバーな日ハム、どこまでも特殊な巨人 球団経営がわかればプロ野球がわかる』(星海社新書)、『TOB阻止完全対策マニュアル』(ZAITEN Books)、『優良中古マンション 不都合な真実』(東洋経済新報社)『最新 弁護士業界大研究』(産学社)など。

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