「プロ野球の球場広告」意外と知らない驚く進化 地味に凄い!ZOZOマリンスタジアムのフル活用ぶり

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最大の特徴は、ゲームを演出する動画のほぼすべてにスポンサーを付けている点だ。どの球団もゲームを演出する動画を場面ごとに作成、スクリーンで流している。ホームチームの守備回なら投手が三振をとった、併殺をとった、ホームチームの攻撃回なら打者がヒットや本塁打を打った、四球で出塁した、といった、いずれもホームチームにとって有利な場面で流すための動画だ。

例外は打球がスタンドに入った場合に注意を促すための「ファウルボール注意」の動画で、これはホームチーム、ビジターチームどちらの攻撃の場合でも流す。

球団によって作成している演出動画の数・種類は異なる。ホームチームのチャンス時はすべて同じ動画を使う球団もあるし、「三振」と「本塁打」、「ファウルボール注意」くらいしか作成していない球団もある。

さらに、演出動画は作成していても、そこにスポンサーを付けるということをまったくしていない球団もあれば、ごく一部だけ付けている球団もある。

動画の種類が多いZOZOマリン

そんな中で、ZOZOマリンはそもそも作成している動画の種類が多いことに加え、その大半にスポンサーを付けている(下表参照)。販売対象にしていないのは死球くらいだ。

中でも秀逸なのは本塁打の演出動画。チョコレート菓子「コアラのマーチ」の絵柄のうち、マリーンズのユニホームを着た「コアラのチャンスくん」バージョンのコアラが、大勢のチャンスくんたちに胴上げされる動画で、後列にはチア衣装を着てボンボンを持った「コアラのナイスちゃん」バージョンのコアラも居並ぶ。スポンサーはコアラのマーチの製造元にして球団親会社のロッテだが、社名がどこにも出てこないあたりが奥ゆかしい。

実際に稼げる広告収入の多寡はさておき、この方法をとると観戦している観客の脳裏に無意識のうちにスポンサーの名前や商品名が刷り込まれる。チェンジ動画をスポンサードしているガンホーの社名は、試合展開とは無関係に、1試合で少なくとも計16回以上も見聞きすることになるのだ。

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