慶大、常識覆す「英語試験で出題文が日本語」の衝撃 受験関係者の間でさまざまな臆測が飛び交う事態に

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巷では、この問題に対して「帰国子女が合格するのをブロックする目的があるのではないか」「東大受験に若干似ているから、東大志望の受験生に合格してもらうためではないか」といった臆測もあります。

僕は東大生と一緒に問題を解いて、ディスカッションしてみたのですが、その中で1つ、感じたことがありました。慶應義塾大学がこの問題を出題したのは、とあるメッセージを発信しているのではないかと感じたのです。それは、「英語力を鍛えようとするなら、日本語力から鍛えなければならない」ということです。

最後が疑問形で終わった意味

例えば、出題された論評の最後は「また、氏は科学技術ではなく、女性の役割を再検討する必要性ばかりを強調しているが、確かにそのことに関しては更なる議論が必要ではあるが、政府が直接社会的な操作を行うことは果たして良いことであろうか」という疑問形で文章が終わっています。

これ、みなさんはどういう意味だと思いますか。ちょっとクイズにしてみました。

「果たして良いことであろうか」は、どちらの意味でしょう?

A:「良いことなのか、悪いことなのか、判断できない」と言っている
B:「悪いことなのではないだろうか」と言っている

正解はBです。質問しているのではなく、「良いことだと言えるでしょうか? 言うまでもなく、言えないですよね?」と言いたいのです。

このように、「文末をわざと質問のように表現にすることによって、逆に強く自分の主張を表明する」という方法です。「~だと言えます」と断定するよりも、「~と言えるのではないでしょうか?」と表現した方がちょっと強い印象を受けますよね? 古めかしい言い方だと「~ではなかろうか?」なんて言ったりします。

これは、日本語だけでなく英語でも同じように使われる表現です。こういうちょっとした婉曲表現や、ストレートに伝えないことで逆にその表現を際立たせる表現というのは、いろんな言語で共通しているのです。

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