システム開発はなぜこうも「失敗」を繰り返すのか 相次ぐ「億円単位」の減損、背景に共通の問題点

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システムやアプリ・Webの開発におけるこうした失敗が、より裾野の広い中小企業で顕在化してくるのはこれからだろう。

東京商工リサーチが中小企業に行った「自社のデジタル化の段階」についての調査によれば、「段階3:デジタルによる業務効率化やデータ分析に取り組んでいる状態」と「段階4:デジタル化によるビジネスモデルの変革などに取り組んでいる状態」と回答する企業の合計が、2021年にようやく全体の半数を超えた。

システム開発・導入が本格的に進むのは、まさにこれらの段階からだ。だが、多くの中小企業では大企業に比べIT専門人材の層が薄い。発注者側が門外漢ばかりでは、ベンダーとのコミュニケーション齟齬(そご)に陥るリスクがある。

経営者の「無知」も影響

もう1つカギを握るのは経営陣だ。情報処理推進機構はDXに関する報告書の中で、「IT業務に見識がある役員の割合」と「DXの成果」との相関について紹介している。

例えば「既存製品・サービスの高付加価値化」という項目への「成果あり」との回答は、見識のある役員比率が0〜3割未満の会社で36.5%なのに対し、同7〜10割の会社では52.1%にも達する。ほかにも10ポイント以上差のついた項目が複数あった。

人員や予算の確保には当然、経営陣の意思決定が必要になる。現場任せ、専門家任せのままでは、DXの成功は遠のくばかりだ。

長瀧 菜摘 東洋経済 記者

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ながたき なつみ / Natsumi Nagataki

​1989年生まれ。兵庫県神戸市出身。中央大学総合政策学部卒。2011年の入社以来、記者として化粧品・トイレタリー、自動車・建設機械などの業界を担当。2014年から東洋経済オンライン編集部、2016年に記者部門に戻り、以降IT・ネット業界を4年半担当。アマゾン、楽天、LINE、メルカリなど国内外大手のほか、スタートアップを幅広く取材。2021年から編集部門にて週刊東洋経済の特集企画などを担当。「すごいベンチャー100」の特集には記者・編集者として6年ほど参画。2023年10月から再び東洋経済オンライン編集部。

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