システム開発はなぜこうも「失敗」を繰り返すのか 相次ぐ「億円単位」の減損、背景に共通の問題点
こうしたシステム開発の“失敗”は枚挙にいとまがない。近年の事例を見ても、金融、小売り、メーカー、インフラなど、多種多様な業界の各社がシステム開発に関わる億円単位の損失を出していることがわかる。
開発断念の理由としてよく挙げられるのは、NXHDのケースと同様、開発の遅延だ。開発ベンダーとの間で取り決めた「要件定義」に不備があったり、つくりたいもののレベルに合ったベンダーをそもそも選定できていなかったりすることが背景にある。
出来上がった頃には「時代遅れ」
デジタルの世界は進化が速い。プロジェクトが遅延すればするほど、出来上がった頃にはすでに時代遅れ……という事態に陥りかねない。また、SaaS(クラウド型ソフト)の普及などで、わざわざ自社で膨大なコストをかけずとも実現できる道が開けてしまうこともある。
割り切って方針転換すればいいが、失った時間や費用はもう返ってこない。
失敗の典型としてもう1つ挙げられるのが、リリース後の不具合の多発だ。記憶に新しいのは、厚生労働省が開発を主導した新型コロナウイルスの接触確認アプリ「COCOA(ココア)」だ。
感染したことを登録できない、感染者と接触したにもかかわらず通知が届かないなど、開始直後から数々の不具合が発生。どんなサービスであれ、開始後に一定の不具合が発生するのは仕方ない。が、厚労省の調査では事前の動作確認テストが不十分だったこと、省内の専門人材が不足していたことなどの反省点が挙げられている。
国の感染症対策方針の変更に伴い、ココアは昨年11月から順次機能停止しているが、期待された役割を全うしたとは言いがたい。
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