しかし国民のほうは、この戦争で経済成長を享受できていないどころか、さまざまな被害を被っている。経済制裁によるエネルギー資源の枯渇、また農産物や工業製品の輸入の困難、それによる物価の上昇である。
ウクライナでの果てしない戦いの中、西欧の市民も最近、政府批判と戦争批判を行い始めている。西欧のあちこちで展開するデモは、一見すると年金問題であったり、石油問題であったりするが、最近では明確にウクライナへの武器輸出批判というデモに変わりつつある。
疲弊するばかりの国民
年金の減少、インフレは、戦争の継続、とりわけ政府による武器支援から生まれていると感じはじめているからである。
結局、今の状況は、一部の資本家と国家エリートなどが利益を独占するだけで、国民が疲弊していることだ。さらには、当事者であるロシアとウクライナでは、この終わることのない高度な武器による戦争で、毎日多くの人々が死んでいるときている。なんと常軌を逸した話であろう。
これが21世紀の戦争と平和の現実だとすれば、われわれはいまだに19世紀の「戦争と平和」という葛藤から一歩も脱却していないということである。早くこの悪夢から眼を覚まし、世界戦争へエスカレートする前に、停戦のための外交努力を行うべきであろう。
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