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「メールのccから外された」50代男性が働かない訳 「働かないおじさん」というレッテル貼りに苦悩

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  • 河合 薫 健康社会学者・博士、気象予報士
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できる自分を見せようとすればするほど周りから煙たがられ、後輩たちからぬれ落ち葉のように扱われるのも情けない。結果を出そうとすればするほど空回りし、自分が浮いているような気がして居心地が悪い。同僚の中には高待遇で他社に再雇用されたり、早期退職して大学の教授になった人もいるので、余計に滅入る。

「どうせ私は……」という自己否定が、ステレオタイプどおりの「私」を演じさせてしまうのです。

「ステレオタイプ脅威」から逃れる方法

フランスの哲学者ジャン=ポール・サルトルは、他者の“まなざし”が個人に与える影響を、「地獄とは他人」という、少々刺激的な言葉で表現しました。

ステレオタイプ脅威という特定の「社会的アイデンティティー」(高齢だから、若いから、男性だから、女性だから、おじさんだから、おばさんだからなど)に対する世間のプレッシャーは、「私」を地獄に突き落とす威力を持ちます。“まなざし”、恐るべし! です。

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では、その脅威から逃れるには、どうしたらいいのか? まずは、一歩ひいて、深呼吸し、「社会的アイデンティティー」の枠から出てください。「おじさんだから」と言い訳に使わないように、距離をおく。その上で、「意志力(Grit)」を具現化するのです。

意志力にはさまざまな解釈がありますが、私の言う「意志力」とは、「自分が、どうありたいか?」といった仕事上の、いや、人生上の価値観です。

具体的には、「私」が「私」でいるために、もっとも重要な価値を明確にする。仕事や人間関係、家族関係、生活態度など、大切にしたいことをできるだけ具体的に書き出すことをお勧めします。

この手法は、「自己肯定化作業」と呼ばれ、ステレオタイプの脅威から抜け出し、本来の「私」の能力発揮につながる効果が実証研究でも確かめられています。

「意志力」は例外なく、誰もが持っているものですが、大きな川にうまいこと流され続けていると忘れがち。長い時間1つの組織に身をおくことは、大きな川の流れに乗ることでもあります。「働かないおじさん」というステレオタイプは、その川下にできた渦のようなもの。

そこから一旦離れて、岸に登り、徹底的に自己を掘り起こす作業をする。仕事人としてだけの「私」ではなく、もっと大きな価値観での「私」として、どうありたいか? を自問し続けてください。

まかり間違っても、「自分を他の奴らと一緒にするな! ステレオタイプが間違いであることを証明してやる」と意気込まないでくださいね。かえって能力をうまく発揮できなくなってしまうので、「一歩ひいて、深呼吸」をお忘れなく。

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