認知症を前向きに捉え、老人を解放しよう いわゆる「問題行動」は、理解不能ではない
今は乱暴に見えても、認知症になる以前は「人に迷惑をかけない」生き方を頑なに守ってきたという人は多い。
人に頼らざるを得ないという状況は自分のポリシーに反しているため、差しのべられた手をはねのけてしまうのだ。
よく「ボケっとしてる」なんて見られることの多い認知症だが、心の中は非常に繊細なのである。
佐藤病院の佐藤忠宏理事長も、このように語っている。
行動の背景を知ることで印象が変わる
本書には著者が手探りで考え、心理を分析していった過程が細かくつづられている。
認知症の人が持つ心の機敏さには驚かされるだろう。
しかしその複雑さを知ることで、理解できないように思われた行動にも背景があることがわかり、ネガティブな印象はほぐれていく。
少なくとも、得体の知れない存在として遠ざけてしまうことはなくなるはずだ。
ジイちゃん、バアちゃんたちと著者が打ち解けていく様子は、読んでいて心あたたまると共に、参考にもしたいものだ。著者のような愛のあるまなざしをもっと多くの人が持てたなら、認知症の人がより生きやすい世の中になり、従来の後ろ向きなイメージからも「解放」されるのだろう。
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