認知症を前向きに捉え、老人を解放しよう

いわゆる「問題行動」は、理解不能ではない

世間に根付く認知症のネガティブなイメージは本当なのか(写真:ネギ / Imasia)

「認知症を“救い”の視点から見直す」

『解放老人』の帯に書かれたこのフレーズに、思わず目が留まった。「認知症」と「救い」という、一見なじまない言葉の組み合わせに惹きつけられたのだ。

漂う、ほのかな明るさ

上の画像をクリックするとHONZのサイトへジャンプします

舞台は山形県南陽市の精神科病院、佐藤病院の中の「重度認知症治療病棟」と呼ばれる場所。そこには山形県内から集まってきた、重い認知症と判断された50人近いお年寄りが入院している。

著者の野村進氏は以前、著作『救急精神病棟』(講談社文庫)の取材で、当時は「重度痴呆症病棟」という名称だったこの施設を訪れたことがあった。

その際にこんな印象を抱いている。

当初予期したものとは、どこかしら違っていた。「どんよりとした、重苦しい、灰色の世界」が身もふたもない従前のイメージだったのだが、そうとばかりは言えない気がしたのである。
*   *   *
ここには、なにか「ほのかな明るさ」がある。それは、白夜の明るさに似ているようだが、決して暗黒の闇夜に存在するものではない。
ひょっとすると、暗夜のどん底で老残に苦しむイメージは、私たちが外部から見た印象だけで一方的に造り上げたものではないか。

 

世間に広く根付く認知症へのネガティブなイメージに違和感を持った著者は、2010年から結果的に足掛け5年にわたる、この病棟への取材に挑む。その結晶が本書だ。

次ページ節子さん(仮名)の場合
ライフの人気記事
トピックボードAD
関連記事
  • 憧れから一歩前へ! キャンピングカーのある日常
  • 映画界のキーパーソンに直撃
  • ソロモンの時代―結婚しない人々の実像―
  • iPhoneの裏技
トレンドライブラリーAD
人気の動画
「人のために働く職業ほど低賃金」な根深い理由
「人のために働く職業ほど低賃金」な根深い理由
「雑談で笑いを取れない人」が知らない基本原則
「雑談で笑いを取れない人」が知らない基本原則
渋谷駅、谷底に広がる超難解なダンジョンの今
渋谷駅、谷底に広がる超難解なダンジョンの今
「話が伝わらない人」と伝わる人の決定的な差
「話が伝わらない人」と伝わる人の決定的な差
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
トレンドウォッチAD
激動相場に勝つ!<br>株の道場

6月18日発売の『会社四季報』夏号が予想する今期業績は増収増益。利益回復に支えられる株価が上値を追う展開になるか注目です。本特集で株価が動くポイントを『会社四季報』の元編集長が解説。銘柄選びの方法を示します。

東洋経済education×ICT